堺市長選:橋下維新、背水の陣 15日告示
毎日新聞 2013年09月03日 07時30分
日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)が掲げる「大阪都構想」の是非を争点に、現職と新人が争う見通しの堺市長選(15日告示、29日投開票)。都構想に反対する現職に対抗して新人を擁立する維新は、敗れれば党の存亡にも関わるとして総力戦の構えだ。一方、現職は3日、自民党本部で石破茂幹事長に支援を要請するが、党内も対応が一枚岩とはいえないのが実情だ。【野口武則、熊谷豪、光田宗義】
◇都構想が最大争点
「負ければ『橋下は終わりだ』って必ず言われます。どうか勝たせてもらって、大阪都を成就したいと思います」。先月30日、大阪市内で開かれた自らの後援会主催の政治資金パーティーで橋下氏はそう訴え、危機感を漂わせたという。
堺市長選で、再選を目指す現職の竹山修身(たけやま・おさみ)氏(63)に対し、維新は地域政党・大阪維新の会副幹事長で前堺市議の西林克敏(にしばやし・かつとし)氏(43)を擁立する。
大阪市と堺市という大阪府内の2政令市を解体し、大阪府に代わる「都」と基礎自治体「特別区」に再編する大阪都構想は現在、大阪府・市の再編手続きのみが進んでいる。
しかし、維新が敗れれば、堺市の参画は事実上消える。大阪都移行を問うため2014年秋予定の大阪市での住民投票にも暗雲が広がる。大阪市議会でキャスチングボートを握る公明党との距離も広がる可能性が高い。公明党は「維新がどれだけ影響力を保つかが分からない」(関係者)と、次期衆院選を見据え維新の力を見極めようとしている。
一方で、維新が勝利しても堺市の構想参画には直結しない。再編手続きに入るためには、15年の統一地方選で市議会の過半数を推進派が制する必要があるからだ。それにもかかわらず、民意を頼みの綱に政治を進めてきた維新にとって勝利は不可欠だ。ただし、それも、公明との協力を維持し、大阪市の住民投票への追い風になる程度にすぎない。国会議員全員が選挙期間中に3回以上入るよう異例の要請をしているが、維新府議はこう話す。「負ければ党にとどめを刺すインパクトがあるが、勝った場合は現状が一歩進む。労多くして功少ない戦いだ」
◇自民本部対応、地元とずれ
堺市長選は、安倍晋三首相の国会運営にも影を落としている。自民党大阪府連は党本部に竹山氏を推薦するよう求めているが、首相周辺には今後の憲法改正に向け「維新との関係を重視すべきだ」との声も出ている。