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【経済】

重ね塗りで白斑頻出 カネボウ化粧品問題 皮膚科学会特別委員長に聞く

松永佳世子委員長

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 カネボウ化粧品の美白化粧品で肌がまだらに白くなる「白斑」症状が出た問題で、原因を究明するために日本皮膚科学会が設置した特別委員会の松永佳世子委員長(62)=藤田保健衛生大学教授=が本紙のインタビューに答え、「(カネボウの問題の美白化粧品を)一種類、二種類、三種類、四種類と重ねた人に白斑が多い」と述べた。原因とみられる美白成分「ロドデノール」の使用量が増えるほど発症頻度が高い傾向を明らかにした。 (聞き手・小野谷公宏)

 −被害の傾向は。

 「一種類、二種類、三種類と重ねて使用していた人に白斑の人が多い。一種類の人も(首など)多く塗ったところに出ている。一定面積当たりにロドデノールを濃く付けた人たちに頻度が高くなっているのは確かだ」

 −カネボウは病気の白斑と思い込んで被害を拡大させたとしている。化粧品による白斑と症状に違いはあるのか。

 「(病気の)尋常性白斑と区別するのは難しい。ただ、尋常性白斑は(顔など上半身だけでなく)体のほかの部位や足にも出る。上半身にだけ出るのは少ない」

 −被害者へのアドバイスは。

 「問題の化粧品をやめるのが治療の第一。やめたことによって色が戻ってくる患者もいる。カネボウの報告によると、二割ぐらいの人が改善している」

 −九月七日に特別委員会の会合が開かれる。

 「治療方法として収集できる範囲のものを集め、推奨できそうな方法か、そうでないのかを検討する」

 −全ての患者が回復するか。

 「それはわからない。やめてから二年たって治らなくても、三年後によくなったという報告もある」

 −ロドデノールは、厚生労働省が承認した医薬部外品だったが、健康被害が出た。

 「何かに効くものには必ずリスクがある。例えばかぶれるリスク、色が抜けるリスク。それを知って使い方を考えてほしい。白くなりたいからといって適量以上に付けることも避けるべきだ」

<まつなが・かよこ> 1976年3月、名古屋大医学部卒。同医学部付属病院を経て91年4月に藤田保健衛生大医学部皮膚科講師、2000年5月から同大教授。接触皮膚炎などが専門分野。香川県出身。

<カネボウ化粧品の健康被害> カネボウ化粧品の美白化粧品を使った人に肌がまだらに白くなる被害が相次いでいる問題。同社は今年7月から美白成分ロドデノールが配合された化粧水など54製品の自主回収を開始。最初にユーザーから同社に問い合わせがあったのは2011年で、対応の遅れも指摘されている。症状が確認された人数は8月11日現在で7266人。日本皮膚科学会は7月17日から症例の実態調査と治療方法を探る特別委員会を設置、対応策を検討している。同学会のホームページには患者向けQ&Aもある。

 

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