WRAPUP1-8月の世界製造業PMI、欧州・中国改善で回復継続示唆 まだら模様で力強さに不安
* ユーロ圏製造業PMI、2011年6月以来の高水準
* HSBC発表の中国製造業PMI、4カ月ぶりに50を上回る
* 製造業PMI、世界経済の回復継続を示唆 ぜい弱さ残る
[ロンドン/北京 2日 ロイター] - 2日発表された世界の8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、中国が4カ月ぶりに景況の改善、悪化の分岐点となる50を上回ったほか、ユーロ圏もおよそ2年ぶり高水準をつけた。米経済の回復にけん引され、回復の裾野が広がっている兆候を示唆した。
ただ新興国売りの渦中にあるインドが、約4年半ぶりに景況の改善と悪化を分ける50を下回ったほか、フランスや韓国なども精彩を欠く内容となっており、世界経済の回復がなおぜい弱であることも浮き彫りになった。
マークイットが発表したユーロ圏製造業PMI改定値は51.4となり、速報値の51.3から上方修正された。受注が堅調となり、2011年6月以来の高水準となった。
また英製造業PMIも57.2と、2011年2月以来の高水準に改善。新規受注と生産がともに1994年以来およそ20年ぶりの高水準となった。
HSBCが発表した中国製造業PMI改定値は速報値と同じ50.1となり、7月の47.7から上昇。内需の回復を背景に4カ月ぶりに50を上回り、中国が大幅な景気減速を回避した可能性が示された。
日本の製造業PMIも6カ月連続で分岐点の50を上回った。
インベステックのビクトリア・クラーク氏は「経済指標の改善が広がりを見せている。とりわけ懸念されていた中国のPMI上昇は、地合い改善の面で大きな追い風で、欧州の回復も支援材料だ」と述べた。
ただ、ユーロ圏第2位の経済規模を誇るフランスの製造業PMIは、18カ月連続で分岐点の50を下回ったほか、ユーロ圏の製造業は19カ月連続で雇用を絞っており、回復が力強さに欠けることがあらためて示された。
また8月の韓国製造業PMIは47.5と、10カ月ぶりの低水準だった前月の47.2から改善したものの、景況の改善・悪化の分かれ目である50は3カ月連続で下回った。
<インドの低迷顕著>
中国国家統計局が1日発表した8月の製造業PMIは51.0と、昨年4月以来の高水準となった。
HSBCのPMI統計とあわせ、2日のアジア株式市場は中国経済がついに減速基調から脱しているとの期待から約2週間ぶり高値をつけた。
スタンダード・チャータード銀行のエコノミスト、スティーブン・グリーン氏は、中国製造業について「安定化しているのは確かだが、かなり弱いか、横ばい程度の回復になる」との見方を示した。
ブラジルの製造業PMIは49.4で、7月の48.5から上昇。ただ、受注の減少やコストの増加が響き、分岐点の50を2カ月連続で下回った。
メキシコの製造業PMIは50.8に改善したが、2011年4月の統計開始以来、2番目に低い水準にとどまった。
新興国で緩やかながらも改善の兆候が出ている中、インドの製造業PMIは48.5と、7月の50.1から低下。受注の落ち込みが響き、景況の改善と悪化を分ける50を2009年3月以来初めて下回った。
インドでは、4─6月期国内総生産(GDP)が2009年以来の低水準となる4.4%増となるなど、過去2年に成長率が半分以下に鈍化。また米連邦準備理事会(FRB)が資産買い入れ縮小の可能性に言及した5月以降、通貨ルピーは対ドルで約20%下落するなど、経済環境は厳しさを増している。
3日には、マークイットの8月米製造業PMI改定値、米供給管理協会(ISM)製造業景気指数が発表される。
関連グラフィックは以下をご覧ください。
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