韓国併合という過去の日本統治の後遺症だろうか、それともすぐ近くにいるせいか、韓国人はなかなか“日本離れ”してくれない。解放記念日がある8月など、マスコミで見る限り連日、日本、日本、日本なのだ。8月のみならず、とくに安倍政権スタート以来、マスコミは「極右軍国主義政権」などと日本の話であふれている。
一方で安倍政権に反対する動きも大歓迎で逐一、伝えられるから、まるで日本にいるかのようだ。知識人たちにいわせると「過去の歴史を教訓に日本への警戒が強いからだ。被害者の心情を忘れてもらっては困る」というが、いまだ韓国併合が続いているような日本への過剰な(?)関心に、自己嫌悪感はないのだろうか。
今から30年も前の夏、最初の教科書事件で反日運動が高潮した際、韓国では「反日から克日へ」が叫ばれた。「克日」とは「日本を克服する」つまり「日本に勝つ」という意味だが、これに対し当時の知識人は「解放後数十年過ぎたが、われわれの意識を引き締めるのにまだ日本という刺激が必要なのだろうか?」と痛切に自問していたことを記憶する(1982年8月19日付「朝鮮日報」識者座談会)。
日本が嫌いならもっと日本を無視していいはずなのに。韓国人の対日感情の不思議なところだ。(ソウル駐在特別記者 黒田勝弘)