★(5)
マレーシアは長年、英国の植民地だったが、第2次世界大戦後に独立国となった。マレーシアもインドネシアと同様、イスラム教国であるが、穏健なイスラム教徒が多く、アルカーイダのような過激派はほとんどいない。マレーシアもまた、先の大戦における日本の活躍に刺激を受けて、戦後に独立を達成した国である。
1981年から2003年まで国政トップを担ったマハティール首相は「ルックイースト政策」を掲げた。これは、日本を模範として先進国の仲間入りをしようという、野心的な国家ビジョンであった。
昨年12月、ルックイースト政策の30周年がマレーシアで盛大に祝われた。マレーシア側が一生懸命なのに、日本側がクール過ぎて、片思いに終わりそうなのが残念なところだ。
マハティール氏は、第2次大戦で日本が英国のマレーシア支配を終焉(しゅうえん)させ、マレー人に自信を与えたことを正当に評価している。植民地における白人崇拝は、現在のわれわれが想像できぬ程に絶対的なものだったが、日本人はこの白人コンプレックスを見事に一掃したのである。
マレーシアでも、華僑・華人とマレー人の差異は大きい。
マレー人ははるかに親日的である。マラヤ国立大学のダトゥク・ザイナル・アビディン教授は自ら著した歴史教科書で「日本のマレー占領は人々を覚醒させ、独立のキッカケを作った。日本は民族の平等を訴えた」と明確に述べている。
ASEAN(東南アジア諸国連合)を作ったリーダーの1人で、マレーシアの外交官であるガザリー・シャフィー元外相は1988年に訪日した際、次のように述べている。
「日本の政治家はどうしてアジアの国におわびばかりするのか。われわれはペコペコする日本人は嫌いだ。なぜ、侍らしく毅然としないのか。大東亜戦争でマレー半島を南下したときの日本軍はすごかった。『われわれにはとてもかなわない』と思っていた英軍を屈服させたのだ。あの時は『神の軍隊がやってきた』と思った。日本は敗れたが、そのおかげでマレーシアは独立したのだ。その偉業を政治家が忘れるとは、何たることだ。日本くらい、アジアのために尽くした国はないのに」
この言葉を聞いて、現在の日本の政治家は恥ずかしくはないだろうか。
マレーシアのラジャー・ダト・ノンチック元上院議員は、大東亜戦争中、マラヤ南方特別留学生として来日していた。陸軍士官学校に学び、戦後は知事、下院議員も歴任した政治家だが、同氏は日本の歴史的役割をこう述べている。
「私たち、アジアの多くの国は、日本があの大東亜戦争を戦ってくれたから独立できたのです。日本軍はとても白人には勝てないとあきらめていたアジアの民族に驚異の感動と自信とを与えてくれました」
彼も自虐的な日本のメディアや政治家には、憤っていた。 (国際政治学者、藤井厳喜)