特集 週刊文春 掲載記事

夢のアンチエイジング商品
水素水論争に最終結論!
誌上実験でわかった「本物」と「偽物」
【全文公開】

水素水1滴にも満たないサプリ

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注:サプリメントは1カプセルあたりの数値。μl(マイクロリットル)はmlの1000分の1

(※)小誌が使用した市販の「溶存水素濃度判定試薬」は、付属する計量容器に水素水を6ml入れ、そこに判定試薬を1滴、1滴とたらして水素濃度を計測する。成分のメチレンブルーと白金コロイドが水素に反応し、濃い青色の判定試薬が透明に変化する。1滴で変化させる水素量は0.1ppm。仮に5滴目までに透明になり、6滴目で色が変化しなければ、水素濃度は0.5ppmと判断できる。

 次に「水素サプリメント」。サプリメントは液体ではないため、計測が難しい。こちらは太田教授に計測を依頼する形をとった。

「まず水素ガス測定用アルミニウム袋に、サプリメントのカプセルを4ケ入れて密封します。中の空気を一度抜いてから、30mlの防腐剤入りの水を注入して密封。その状態のまま、37℃の状態で48時間保存。さらに60mlの空気を入れて2時間揺すってから、その中から20mlの空気相を採取して、ガスクロマトグラフィーを使い水素濃度を計測しました」(太田教授)

 その結果、判明したのは驚きの事実だった。「アクティブハイドライド」、「おはよう水素」、「爽快水素プレミアム」、「POWER SUISO」からはほとんど水素が発生していなかったのである。

 表では一見サプリから多くの水素が発生したように見える。だが気体と液体ではppmの意味が異なるため、サプリから発生した水素ガスの量は水素水の1万1000分の1。あまりに微量のため、同量の水素ガスを溶かして作った飽和水素水は左列のようなμl(マイクロリットル)という単位となる。

「この結果を分りやすく言うと、これら4つのサプリメントは、1カプセルで市販の水素水の“1滴にも満たない”分子状水素しか出ていないことになります。インターネットで『おはよう水素』のホームページを見ると、『3~5ppm前後の水素ガスが長時間に渡り発生している』と主張しています。たしかに今回の実験でも、それに近い値が出ましたが、この程度のほんのわずかな水素発生量で、なにか体に効果があるとは到底考えられない」(同前)

 これらのサプリには、「マイナス水素イオン」「食べるマイナス水素イオン食品」といった表記があり、「おはよう水素」「爽快水素プレミアム」「POWER SUISO」の3つには「特許第4404657号」と書かれている。が、これらの表記は何を示すのか。

【次ページ】 “非科学的水素”の最たるもの

この記事の掲載号

2013年2月28日号
2013年2月28日号
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2013年2月21日 発売 / 定価380円(税込)
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水素水太田 成男

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