特大号特別寄稿 セクハラ・パワハラ・マタハラ
曽野綾子「私の違和感」 何でも会社のせいにする甘ったれた女子社員たちへ
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■出産したらお辞めなさい |
■早く大人になりなさい |
■特別扱いはできません |
■社会に出る資格がありません |
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社会に出て、自立して生きる女性は増えている。男性と肩を並べ、仕事をこなす。「女だからって差別しないで」、と願ったのは彼女たちだったのに。今やモンスター社員と化した女子社員に、物申す。 |
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出産したらお辞めなさい
最近、マタニティ・ハラスメントという言葉をよく耳にするようになりました。マタハラとかセクハラとか、汚い表現ですね。妊娠・出産した女性社員に対する嫌がらせやいじめを指す言葉ですが、この問題に対し、企業側は、反対意見を言えないよう言論を封じ込められているようです。
しかし、このような問題の現実を正視しないでいるようでは、女性は本当の意味で社会進出できないでしょう。経済の単位である会社には、男も女もないんですから。
そもそも実際的に考えて、女性は赤ちゃんが生まれたら、それまでと同じように仕事を続けるのは無理なんです。なぜなら、赤ちゃんは始終熱を出す。大抵はたいしたことないですけど、母親としては心配です。その場合、「すみません、早退させてください」となるのは無理もありません。でも、そのたびに「どうぞ、急いで帰りなさい」と快く送り出せる会社ばかりではないはずです。
ですから、女性は赤ちゃんが生まれたら、いったん退職してもらう。そして、何年か子育てをし、子どもが大きくなったら、また再就職できる道を確保すればいいんです。
私の家では今までに女性秘書が3人勤めてくれましたが、全員が今うちに「再就職」をしているんです。結婚と同時に辞め、子どもが中学にあがるくらいになった頃、復帰してもらいました。お互いに相手のことがわかっていますから、雇うほうも楽ですしね。
それにしても、会社に迷惑をかけてまで、なぜ女性は会社を辞めたがらないのでしょうか――。子どもができたら、共働きをしないと生活が苦しくなってしまう、という心配は出てくるでしょうね。
この考え方が、私とは少し違うんです。というのも、私たちが若くして子育てをした頃は、みんな貧乏暮らしをするものでした。6畳一間のアパートで新婚生活を始めて、子どもが生まれて手狭になると、やっとローンを組んで家を買う。これが当たり前でした。
本来、子どもができたら自分勝手なことに使えるお金が減るのは当然なんです。それを、「子どもは国の宝なんだから、国がちゃんと面倒をみろ」と主張するのは、少し考え違いだと思います。子どもは、貯金を減らすなり、ほかのことに使っていたお金を減らすなりして、育てるものです。
同じような観点から考えると、ふくれ上がる保育所の待機児童の問題も異常だと思うのです。子どもは、自分の家で育てるものです。だから昔は、みんな親と同居していたでしょう。そうすれば、おばあちゃんに子どもをみてもらって、お母さんは買い物にだって行ける。事実、私自身もそうやって仕事をしながら子供を育てました。
ところが、いまの若い人は親と同居したくないし、収入が減るのも嫌だから、保育所に子どもを預けて働くのが当然というわけです。そして、「働く母親のためにもっと保育所を増やせ、待機児童をなんとかしろ」とおっしゃる。国家もその方向で動くでしょうが、本来子どもを育てるのは親個人です。保育所はあった方がいい。けれど、できるだけ長い時間、親は子どもと一緒にいるべきなんです。
また、彼女たちは会社に産休制度を要求なさる。しかし、あれは会社にしてみれば、本当に迷惑千万な制度だと思いますよ。
産休は、いつからいつまでと期間を決めて、会社を休みます。辞めてしまって、ずっといなくなるというのなら新しい人材を補填ほてんすれば済むけれど、そういうわけにもいかない。結局、産休で抜けた人の仕事を職場のみんなでやりくりしてカバーしないといけません。こんなことでは、女性を責任あるポストに置くわけにいかないのも当然でしょう。
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