阪神大震災:村山元首相らの危機管理 口述記録53件公開

毎日新聞 2013年09月01日 07時43分(最終更新 09月01日 09時53分)

 公益財団法人「ひょうご震災記念21世紀研究機構」(神戸市)は1995年の阪神大震災当時、首相だった村山富市氏ら政府首脳や自治体首長ら震災に直面したトップが、対応や危機管理などを語った口述記録「オーラルヒストリー」53件を公開している。同機構が約10年がかりでインタビューした。外交文書などに準じて30年間非公開の方針だったが、南海トラフ巨大地震などに備えて教訓を生かそうと公開に踏み切った。

 前身の「阪神・淡路大震災記念協会」だった98〜2009年、五百旗頭(いおきべ)真理事長や京都大防災研究所巨大災害研究センターの林春男教授らが約90人にインタビューし、語ったままを記録した。

 貝原俊民・前兵庫県知事をはじめ被災自治体首長、警察・消防・自衛隊などの責任者らに、震災時の対応や危機管理を尋ねた。村山元首相や後藤田正晴元副総理(故人)ら当時の政府首脳や企業トップらには、復旧・復興過程などを聞いた。

 公開記録では、村山元首相は政府の初動の遅れに触れ「弁明の余地はない」と振り返り、発生2日後となった被災地視察についても「落ち着いた状況の中へ行って、いろんな各層の意見を聞いた方が良いということで、わざわざ2日後の19日に行った」と釈明。「だけど、やっぱりすぐ行くべきだったと、大分批判された」と述懐している。

 また個人の住宅再建に国費を投入する議論があったが、「個人の私有財産に国費は入れられない」と大蔵省(当時)が抵抗して実現しなかったとし、「一番心残り」と悔やんだ。

 一方、石原信雄元官房副長官は震災直後、神戸港への米軍援助受け入れに関して、「援助物資を持ってきた米軍の艦船を入れさせないというようなトラブルがあったと聞いている」と証言。神戸市が入港艦艇に「非核証明書」を求める「非核神戸方式」が理由といい、「人道援助として来た外国の軍隊あるいは人々の受け入れを拒否するというのは、外国に対しても大変失礼な話」と批判した。

 同機構は、全66件の証言のうち、本人や遺族らの了解が得られた53件を公開している。人と防災未来センター(神戸市中央区、月曜休館)西館5階の資料室で閲覧できる。【桜井由紀治】

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