日本外務省は戦時徴用訴訟について「仲裁委員会の発足を求める」(幹部)との立場。協定の3条では両国間で紛争が起きた際、両国が合意した第三国の委員を含む仲裁委を発足させるとの規定がある。
首相周辺も仲裁委の規定を把握しているが、国際司法裁への提訴検討を強調するのは、韓国側が仲裁委の設置に応じるか定かでないためという。
無策のまま時間を浪費すれば、日本側にデメリットが生じる。徴用訴訟ではすでに、韓国の高裁レベルで日本企業に賠償を命じる判決が相次いでおり、賠償命令が確定すれば日本企業は韓国での保有資産を差し押さえられる恐れもある。
このため国際司法裁への提訴で、日本の正当性を表明し、差し押さえを踏みとどまらせる狙い。加えて、日本企業を全面支援する姿勢を示すことで、企業側にも「賠償拒否」で一致した対応を求めたい考えだ。
夕刊フジで「新悪韓論」(毎週水曜)を連載するジャーナリストの室谷克実氏は「国際司法裁への提訴は、現在できる最高の方法だろう。韓国司法は世界の常識から大きく逸脱している。国際社会に『司法に値しない』とアピールすべきだ。賠償に応じる企業は、暴力団にみかじめ料を払う商店と同じ。政府は日本企業を守るとともに、理不尽な要求に応じない方針も堅持すべきだ」と語っている。