証言3・11:東日本大震災 三陸鉄道南リアス線運転士、乗客励まし誘導
毎日新聞 2011年06月30日 東京朝刊
トンネルを出た休石さんは民宿で電話を借りようとしたが、停電で電話は通じなくなっていた。そこで国道45号まで出てヒッチハイク。大船渡市役所へ乗客2人を送り届け、同市の三陸鉄道運行部にたどり着いたころは午後8時近かった。
翌日、唐丹側が津波で壊滅したことを知った。背筋が寒くなった。あのまま運転を続けていたら、どうなったろう。「トンネル内で列車が止まったこと、吉浜側に出たこと。すべてがラッキーだった」
南リアス線は駅や線路が壊滅し、全面運休している。休石さんは一部運行が再開した北リアス線を運転するが、何より「自分は南リアスの人間」という思いがある。南リアス線の再開の見通しは立っていないが「少しずつでも復興に向けて進んでいきたい」。再び運転席に座る日を心待ちにしている。【円谷美晶】