【ベネチア1日】第70回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品されている宮崎駿監督(72)の5年ぶりの監督作「風立ちぬ」(公開中)の公式会見が行われた。壇上でスタジオジブリの星野康二社長(57)は、今回の作品をもって宮崎監督が引退することを発表。日本のみならず、世界中で名前を知られる“巨匠”の突然のリタイア宣言に、各国から集まった映画関係者には衝撃が走った。
先日、「風立ちぬ」の全米配給権を過去の作品同様にディズニーが獲得するなど、世界各国で愛されている宮崎監督作品。会見後の海外の映画関係者も、一様に「残念」という反応を見せた。
地元イタリアのフィレンツェでアジア映画のプロモーションを手掛けている男性は「引退は、映画の宣伝をするための“あおり文句”じゃないかと思ったくらい」と、星野社長の発言に戸惑いを隠せず。「もし、これが本当の話だったら、非常に残念だ」と肩を落とした。
男性によると、イタリアでは黒澤明監督、北野武監督と並んで高い人気を誇っているという宮崎監督。特に「風立ちぬ」は、イタリアの航空機メーカー「カプローニ社」の創業者が重要人物として登場していることから、高い注目を集めているという。
映画祭会場で毎日発行される地元の映画専門誌でも「日本の映画でありながら、イタリアのジャンニ・カプローニ(創業者)にも敬意を表している」と紹介されている。男性は「日本の映画はクオリティーが高い作品が多い。この引退がきっかけで、アメリカ作品の人気がヨーロッパで先行するようになるかもしれないね」と心配していた。
[2013/9/2-06:01 スポーツ報知]