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ホームレス支援誌 日本で創刊10年
9月1日 18時10分

ホームレス支援誌 日本で創刊10年
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売り上げの一部で、路上生活者、いわゆるホームレスの人たちの自立を支援する雑誌が、日本での創刊から10年を迎え、1日、東京都内で記念の講演会が開かれました。

雑誌「ビッグイシュー」は、ホームレスの人たちの自立を支援するため、1991年にイギリスで誕生したもので、ホームレスの人たちが街頭で販売し、売り上げの一部が販売員の収入になります。
雑誌は10の国と地域で販売され、今月、日本での創刊から10年を迎え、東京都内で記念の講演会が開かれました。
この中で、雑誌の創始者でイギリス人のジョン・バードさんは、「ホームレスの人たちもチャンスがあれば成功できる。今後も支援を続け、解決策を探っていきたい」と述べました。
雑誌には、国の内外の著名人のインタビューや、エネルギーや雇用などの社会問題の記事が掲載され、発行元によりますと、この10年間で販売は15の都道府県に広がり、売り上げは合わせておよそ575万冊に上るということです。
そして、雑誌の販売に当たった1500人近くのホームレスの人たちのうち160人余りが、住まいを見つけて新しい仕事に就いたということです。
厚生労働省の調査によりますと、ホームレスの人たちの数はことし1月の時点で8200人余りと、ピークだった平成15年の3分の1に減りましたが、インターネットカフェなどで寝泊まりする人たちなど、実態の把握が難しい人たちが増えてきているということです。
雑誌の発行元では今後、こうした人たちや、生活が困難でホームレスになるおそれのある人たちにも支援を広げていきたいとしています。

販売員「階段を1段ずつ上る気持ちで」

雑誌「ビッグイシュー」は、民間がビジネスとしてホームレスの人たちを支援する新たなモデルとして注目を集め、オーストラリアや南アフリカなどでも販売されています。
雑誌を販売するのはホームレスの人たちで、1冊売ると、300円の売り上げのうち160円が販売員の収入になります。
この収入を元手にアパートなどを借り、最終的には仕事に就いて自立してもらうのが目標です。
雑誌は定期的に購入している人が全体のおよそ60%に上るということです。
発行元によりますと、この10年間で売り上げは多いときで年間67万冊余り、合わせておよそ575万冊に上り、8億円余りが販売員の収入になったということです。
雑誌「ビッグイシュー」を街頭で販売している人は、現在、東京や大阪など15の都道府県で合わせて140人余りに上っています。
このうち、東京の渋谷駅前で雑誌を販売している40代の男性は、トラックの運転手をしていましたが、7年前、勤め先の運送会社が倒産して失業しました。
その後、いくつかの職場で働いたものの、仕事が減るなどして生活が厳しくなったため、4年ほど前から路上やインターネットカフェで寝泊まりするようになり、去年6月、雑誌の販売の仕事を始めました。
はじめは1日に数冊しか売れず、食事を1食に切り詰めるなどしてしのいでいましたが、いまは常連客もできて、1日の売り上げは20冊ほどに増え、ひとつきに10万円ほどの収入を得られるようになりました。
男性は、「お客さんから励まされて続けてこられました。今はアパートを借りることを目標に、階段を1段ずつ上る気持ちで自立に向けて頑張っています」と話しています。

実態把握難しい人たちが増加

路上生活者、いわゆるホームレスの人たちの数は、この10年間で大幅に減少する一方、インターネットカフェなどで寝泊まりする人たちなど、実態の把握が難しい、広い意味でのホームレスの人たちが増えてきています。
ホームレスの人たちは、バブル崩壊後の景気の低迷で急速に増えて大きな社会問題となり、ピークだった平成15年には全国で2万5000人を超えました。
国や自治体は、ホームレスの人たちに一時的な宿泊施設を提供したり、住まいや仕事をあっせんしたりして支援する一方、各地で無断で作られた小屋やテントの強制撤去も進められました。
その後、ホームレスの人たちは減少し、厚生労働省の調査によりますと、ことし1月の時点で8200人余りと、10年前のおよそ3分の1に減りました。
一方、民間団体によりますと、5年前の世界的な金融危機以降、インターネットカフェや24時間営業の店舗に寝泊まりする人たちや、生活が困難でホームレスになるおそれのある人たちが増え、こうした人たちは全国でおよそ4万人いると推定されるということです。
厚生労働省では、インターネットカフェなどに寝泊まりしている人たちのため、東京や大阪などに住宅資金の貸し付けや職業の紹介などを行う窓口を設けるなどして、支援を行っています。

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