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防衛の行方―装備を増やすだけでは

防衛省が14年度予算の概算要求で、今年度当初比2・9%増の総額4・8兆円を計上した。中身をみると、新たな案件が目白押しである。米軍の無人偵察機グロ[記事全文]

汚染水対策―五輪招致のためでなく

新たな危機をどう抑え込んでいくか。福島第一原発での放射能汚染水漏れを受けて、政府と東京電力の体制組み直しがようやく動き出した。決定的な対策があるわけではない。新たに高線[記事全文]

防衛の行方―装備を増やすだけでは

 防衛省が14年度予算の概算要求で、今年度当初比2・9%増の総額4・8兆円を計上した。

 中身をみると、新たな案件が目白押しである。

 米軍の無人偵察機グローバルホークの15年度の導入をめざして、調査費が2億円。実現すれば4機で数百億円ともいわれる高額の装備だ。

 離島の守りを担う水陸両用準備隊を新たに編成し、水陸両用車2両を調達する。

 安倍政権のもと、中国・北朝鮮をにらんだ抑止力強化の動きが鮮明となっている。

 だが問題は、このような装備の増強によって、ほんとうに日本の安全保障環境が良くなるのか、という点にある。

 なにが日本を守るのか。それを考えることが出発点だ。

 たしかに自衛隊の能力は一つの重要な要素だが、それだけではない。国際情勢を冷静に複眼的に分析し、外交・安全保障戦略をたてる。そのうえで、自衛隊の任務を規定し、必要な装備を整えなければならない。

 それを国内外に明確に説明することも必要だろう。日本の針路への疑念を招けば、安保環境は悪化するばかりである。

 装備を増やせば安全になる、という単純な話ではあるまい。ましてや米国の軍需産業のお得意さんとなるべく、購入をはかるような理屈は通らない。

 見過ごせないのは、米軍の新型輸送機オスプレイの15年度の導入に向け、1億円の調査費を計上していることだ。

 米海兵隊のオスプレイの沖縄への追加配備が大きな反発を招いたばかりである。本土への訓練の分散移転も進んでいない。そんななかで、自衛隊によるオスプレイ導入が幅広い理解を得られるとは思えない。

 装備の増強を偏重する防衛政策は、国家と国家が兵器で衝突する従来の安全保障観に引きずられてはいないか。

 むしろ、取り組みを加速させるべきなのは、サイバー攻撃への対応だろう。情報システムを守れなければ、自衛隊の運用どころか国全体の中枢が麻痺(まひ)しかねない。サイバー関連経費として240億円を盛り込んだが、対策を急がねばならない。

 さらに言えば、原発こそ日本の安全保障の急所である。そこから目をそらしてはならない。福島第一原発の事故の教訓を踏まえ、大災害やテロ攻撃などによる最悪の事態を想定することも大切な国防政策だろう。

 古い戦争の既成概念にとらわれず、新しい安全保障のあり方を根本から考えていく必要があるのではないか。

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汚染水対策―五輪招致のためでなく

 新たな危機をどう抑え込んでいくか。福島第一原発での放射能汚染水漏れを受けて、政府と東京電力の体制組み直しがようやく動き出した。

 決定的な対策があるわけではない。新たに高線量の汚染水漏れも確認された。絶えず問題点を洗い出し、知恵と人材を最大限に投入していくしかない。

 政府は近く、全体の工程管理を含めた中長期にわたる対策の全体像をまとめる。

 すでに設けた複数の専門家会合に加え、経済産業省で専任の「汚染水特別対策監」を任命した。現地にも職員を置く。

 東京電力側も、複合的な課題を統括するプロジェクト・マネジメントの経験が豊富な人材を社外から登用するなど、あらためて対策本部を構えた。

 もちろん、人や組織を整えるだけで、事態が改善するはずもない。闘いは長丁場になる。トラブルも多発するだろう。

 政府の役割は重い。

 ヒト・モノ・カネの面で、東電という一企業としての制約を取り払い、必要性と有効性の観点から対策を講じなければならない。

 あわせて、放射線による作業環境の悪化にも目を光らせる必要がある。実際の作業は東電側に委ねる部分が多いが、最前線に立つのは下請けや孫請けといった協力会社の人たちだ。

 危険な現場を肌身で知る作業員は、長期戦を乗り切るうえで不可欠な存在である。対策のスピードアップが、被曝(ひばく)量の増加や労働条件の悪化につながっては元も子もない。

 後手に回ってきたのは、内外への説明・発信も同様だ。

 漁業関係者や避難住民をはじめ、東電への不信感は大きい。海外では近隣国を中心に、日本から適時情報を得られないことに不満が高まっている。

 国際原子力機関(IAEA)からも、原子力規制委員会への「助言」という形で、混乱回避へ適切な情報開示をするよう苦言を呈された。

 説明の場に国が出ていく機会を増やし、率直な対話に努めるべきだ。経産省や原子力規制庁は手いっぱいでもあり、他省庁も機動的に動いてほしい。

 そんななか、国会が汚染水問題で予定していた閉会中の審査を先送りした。審議の紛糾が、東京五輪招致に影響することへの懸念もあったという。

 政治家が打算含みで福島を利用することがあってはならない。日本がいま最優先で国際社会に果たすべきは、あらゆる手を尽くして原発事故を食い止めることである。

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