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【第892回】 2013年8月31日
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週刊ダイヤモンド編集部

銀行から個人まで駆け込む
ネット風評“掃除業”が急拡大

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 それでも、この業界が急拡大する理由は「ネットの風評対策が、企業の売り上げや採用活動において死活問題と化している」(業界関係者)からだ。

 「例えば、視聴率で苦戦するフジテレビの反韓流デモへの対応は、ネット対策を軽視した代表的な失敗例」と、この業界関係者は指摘する。

 また、業者に頼らず、自前でネットの評判向上に血道を上げる企業も増えているという。例えば、ある大手小売店では、逆SEO専従の部署があるとされる。

 実際、社名をGoogleで検索しても、過去の不祥事を記述したサイトははるか下位に沈み、「関連ワード」さえ表示されない。

個人の申込者も急増

 ネット上の評判を気にするのは、企業など法人だけではない。近年増えているのが、個人の契約者だという。

 その大半は、大学の学長選や教授選でライバルからネットで誹謗中傷を受ける大学教員や医師。さらには、政治家や芸能人、中小企業の会社社長など多岐にわたる。

 ソーシャルメディアや口コミサイトの発達、さらにはスマホの普及で拡大するネット上の中傷や風評被害。だが、問題は、本当に根も葉もない風評なのか、事実を告発したまっとうな情報なのか、その線引きが難しい点にある。 

 加えて、たとえ事実であったとしても、今度は、すでに対策を採った過去の不祥事について「忘れられる権利」と、公共の利益との折り合いをどうつけるのかといった問題もある。

 Googleは5月、逆SEO対策のためアルゴリズムを大幅変更し、技術的ないたちごっこは激しさを増すばかりだが、社会のコンセンサスづくりは脇に置かれたままだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 宮原啓彰)

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