13兆円相当の「偽米国債」所持で、「自称日本人」が欧州で拘束
今年2009年6月はじめ、イタリアとスイスの国境で、なんと1340億ドル(約13兆円)相当もの高額の米国債を持っていた「日本旅券を持つ」2人が、当局に拘束された。この事件は、あまりの巨額さから、ずいぶん話題になった。
イタリアからスイスに持ち出そうとしたところを捕まったようだが、報道によると「日本人」2人は50歳代で、身なりの良いスーツ姿だったという。
鞄には額面5億ドルの米国債249枚と、10億ドルの米国債が10枚入っていたが、偽造品とわかり、釈放された。イタリアでは、偽国債は使用しない限り罪に問えないのだ。
同国では最近も、イタリアマフィアが10億ドルの偽ベネズエラ国債を担保に、銀行からカネをだまし取ろうとして逮捕されている。今回のニセ米国債もイタリアマフィアが偽造したという報道があり、マフィアと日本の犯罪組織の関係も取りざたされている。
私もこの事件の捜査に多少関係があるのだが、これは、すぐ偽物と判断できた。なぜなら、「額面5億ドル」などという高額額面の米国債は存在しないからだ。
「巨額の偽債券」というのは、実は昔からある手口だ。たとえば東南アジアでは、1枚で数億円相当の偽債券が摘発されることが、よくある。こちらの場合も、もちろん、実際にはそんな額面の債券は存在しない。