復興を問う:東日本大震災 第1部・自立への模索/1(その2止) 「土地譲れぬ」開発の壁
毎日新聞 2013年08月24日 東京朝刊
「震災前は勝手な時間にシャッターを閉めていた。卸売市場が休みだと品切れも平気。大手小売りのようには客の方を向いていなかった」と伊東さんは振り返る。「やる気のある商店主が集まれば、大手に対抗できる」
現実は甘くない。被災した店舗の再建には国や県から補助が出るが、新規開業は全額自己負担。買い物で必要な物がそろう商店街にするために、新たな店を呼ぶのは難しい。
7月、まちの将来を話し合う商業者の会合は「地元だけでマーケットのようなものを」「中央の資本を入れた方がいい」と紛糾した。仮設商店街の客足も鈍ってきている。「シャッター通り」の再現に終わらせないためには何をすべきか。手探りが続く。【市川明代、根本太一】
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東日本大震災から3年目の被災地で、復興の歩みが心もとない。一人一人の努力を超えて妨げとなっているものは何か。道の先にある真の復興とは−−。連載の第1部では、産業の自立を模索する岩手、宮城沿岸部の人々を追う。=つづく