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【社会】

除染受注問題 ゼネコン 新たに2事業、無競争

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 東京電力福島第一原発事故に伴う国直轄の除染事業を、ゼネコンがほぼ無競争で次々と受注している問題で、八月に実施された福島県富岡町と飯舘村の二つの事業の入札でも、先行のモデル事業を受注したゼネコンが競争なしに落札していた。本紙の取材で新たに分かった。 (大野孝志)

 これまでの本紙の取材では、環境省は二〇一二年度、旧警戒区域に含まれる福島県の計八市町村で本格除染を発注。そのうち南相馬市など計六市町村の事業で、前年度に同じ自治体内で国からモデル事業を受注したゼネコンがそのまま落札するという、不自然な結果が判明した。

 さらに、六市町村の事業のうち四市町村では、入札参加者が一社のみ、二市村では二社のみで、競争がほとんど働いていない実態も浮かんでいた。

 その後の取材で、八月に実施された富岡町の除染事業でも、かつて同町でモデル事業を受注した鹿島の共同企業体(JV)が落札し、五百七十三億円で契約。飯舘村の事業でも、モデル事業と一二年度の除染事業を受注した大成建設JVが、二百十六億円で契約していることが分かった。

 どちらのケースも、入札に参加したのは落札した一社のみ。予定価格に対する落札額の割合(落札率)は、富岡町で95%、飯舘村で91%と高かった。

 新規の判明分を加えると、国が除染事業を発注した九市町村のうち、モデル事業を受注したゼネコンがそのまま本格除染も受注したのは七市町村に上る。

 モデル事業はあくまで除染の効果を確かめるもので、広範囲に住宅や周辺の山林や農地を手掛ける本格除染とは本質的に関係がない。

 発注元も、モデル事業は内閣府、本格除染は環境省と異なる。

 巨額の事業なのに、入札者が一社だけというケースも、九市町村のうち六市町村と三分の二を占めている。

 残る国の除染事業は双葉、浪江両町だが、ここでもモデル事業の受注者が、本格除染も受注すれば、ゼネコン同士がすみ分けをしている可能性がさらに高まることになる。

 環境省福島環境再生事務所は、取材に「入札は適正に行われた」と強調する。

 鹿島と大成の両社も「適正な手続きで契約した」とコメントしている。

 

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