(「来年4月に消費税率を5%から8%に引き上げること」に、○は賛成、×は反対、―は無回答や態度保留など。会議後の取材などから)
来春消費税8%、賛成7割超■第1日 総論
岩田一政・日本経済研究センター理事長・×
経済へのショックを和らげるには、来年4月から毎年1%ずつ増税していくのが望ましい
加藤淳子・東大院教授(政治学)・○
軽減税率には反対。何を(軽減の)対象にするかで政治的議論になる(甘利経済財政相の発言紹介から)
古賀伸明・連合会長・○
所得税や資産課税の累進制(所得・資産が多いほど税率が高い制度)で所得再分配機能を強化するべきだ
古市憲寿・東大院博士課程(国際社会科学)・○
若者や現役世代に目が向いていない。教育や社会保障など、人々が再生産できるようお金を使うべきだ
増田寛也・東大公共政策大学院客員教授、前岩手県知事、元総務相・○
景気へのマイナスの影響を避けるために補正予算が必要。安易な公共事業ではなく、将来につながる予算を
山根香織・主婦連合会長・×
消費増税は断固反対。給料も上がらない今の状態で増税を強行すれば、貧困や格差が拡大すると思う
米倉弘昌・経団連会長、住友化学会長・○
企業も消費者も増税を前提に経済活動している。ここで覆ると株安、通貨安、債券安のトリプル安の恐れ
■第2日 経済・金融(1)
伊藤隆敏・東大院教授(国際金融)・○
増税してもデフレ脱却に失敗することはない。(先送りなど)代案には政治的、時間的コストが大きい
稲野和利・日本証券業協会長・○
増税の延期は、株安や金利上昇などの混乱を招くおそれがある。補正予算などで景気の腰折れを防ぐべきだ
片岡剛士・三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員・×
黒田日銀総裁は2年で年2%の物価上昇を達成しようとしている。達成するまで消費増税は先送りすべきだ
熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミスト・○
景気の下支え策を講じたうえで増税すべきだ。法人減税や住宅(販売)の激変緩和策、給付金、公共事業を
宍戸駿太郎・筑波大名誉教授(経済政策)・×
7年後まで増税を凍結すべきだ。2020年に(失業者がほとんどいない)完全雇用を達成してからでも遅くない
白川浩道・クレディ・スイス証券チーフエコノミスト・×
1%ずつ5年にわたって上げる方が望ましい。デフレ脱却の確率が高まり、より税収も増える可能性がある
武田洋子・三菱総合研究所チーフエコノミスト・○
デフレ脱却と財政再建の両立が必要。財政への信認がないと「悪い金利上昇」につながる可能性がある
中空麻奈・BNPパリバ証券投資調査本部長・○
財政再建は急務。若い世代と60歳以上の世代間格差が大きい。消費税を増税して格差を埋めるべきだ
浜田宏一・エール大名誉教授(国際金融)、内閣官房参与・×
(増税は)デフレ脱却を阻害する。1年延ばすか、(税率を)毎年1%ずつ高めていくことも考慮すべきだ
■第3日 国民生活・社会保障(1)
井伊雅子・一橋大教授(医療経済学)・○
将来の医療や介護が心配で消費を控えようと思う人が多い。(社会保障の)安心感が増税の理解につながる
石黒生子・UAゼンセン副書記長・○
(税率)引き上げ分は社会保障の充実に使うべきだ。非正規労働者に社会保険の適用を拡大してほしい
工藤啓・NPO「育て上げ」ネット理事長・×
生活への打撃で非正規雇用の若者らが前に進む力が失われる。マクロ(経済)的に正しくても賛成できない
小室淑恵・ワーク・ライフバランス社長・○
待機児童対策をスピーディーに進めるべきだ。団塊ジュニア世代が出産適齢期を終えてからでは遅い
永井良三・自治医科大学長・○
予定通り(税率を)引き上げなければ社会保障の整備ができない。団塊世代は12年後に75歳以上。待てない
宮本太郎・中央大教授(福祉政策論)・○
雇用と経済を支える税の使い方、社会保障改革をきちっとやるという条件で早急に消費増税に着手すべきだ
横倉義武・日本医師会長・○
社会保障財源として使うべきだ。(税率を)1%幅ずつ上げると診療報酬(の事務)などで手間がかかる
吉川万里子・全国消費生活相談員協会理事長・○
安心して暮らせる社会のためにやむを得ない。使い方を明確にし、公共事業にできるだけ流れないように
■産業
石沢義文・全国商工会連合会長・×
(増税分を)中小は価格転嫁できない。免税や簡易課税を広げる対策がないと中小商工業への打撃が大きい
岩沙弘道・不動産協会長、三井不動産会長・○
財政規律と社会保障は避けて通れない。増税後の住宅市場の落ち込みはローン減税の拡充もあり、限定的だ
岡村正・日本商工会議所会頭、東芝相談役・○
社会保障が今の財政では回らず、10%上限の増税はやむを得ない。ただ、複数税率の導入には断固反対
岡本圀衛・経済同友会副代表幹事、日本生命保険会長・○
(財政再建の)国際公約を破ると国債や株が暴落する。若者の将来のために現役の我々が痛みを負うべきだ
小松万希子・小松ばね工業社長・○
財政状況を考えると仕方ないが、大企業のように円安・株高の恩恵はなく、賃金もすぐには上げられない
清水信次・日本チェーンストア協会長、ライフコーポレーション会長・―
増税するかどうかは総理が決め、国民はそれに協力すべきだ。増税するなら低所得者の負担軽減策が必要だ
鶴田欣也・全国中小企業団体中央会長・○
景気回復はまだ中小企業には浸透していない。中小企業に届く景気対策や税制面での配慮をしてほしい
豊田章男・日本自動車工業会長、トヨタ自動車社長・○
消費増税には賛成だが、自動車の国内生産を維持できるよう、自動車取得税や自動車重量税は廃止を
樋口武男・住宅生産団体連合会長、大和ハウス工業会長・○
財政を改善しなければ、不信感で国債が値下がりして金利が上がる。駆け込みでの住宅取得者の混乱も招く
■第4日 地方・地域経済
青柳剛・群馬県建設業協会長、沼田土建社長・○
建設業は景気に左右され、疲弊している。増税時には(公共事業での人件費の)単価も引き上げてほしい
阿部真一・長野県佐久市の岩村田本町商店街振興組合理事長・×
(来春は見送って)15年10月に一気に税率10%に。2段階で税率を上げると、消費が2回冷え込んでしまう
岸宏・全国漁業協同組合連合会長・○
魚の消費減退が心配なので、(食品などの税率を低くする)軽減税率の適用を検討してほしい
坂井信也・日本民営鉄道協会長、阪神電気鉄道会長・○
1%ずつの(税率)改定はその都度システム改修が必要で極めて困難。(増税後は)地方鉄道への支援も
立谷秀清・福島県相馬市長・○
被災した弱者や高齢者のためにも社会保障の財源は必要だ。被災地といえども反対の立場はとれない
谷正明・全国地方銀行協会長、福岡銀行頭取・○
財政再建と社会保障改革のためには増税が必要。予定通りに増税できなければ、国際的な信用を失う
西田陽一・おんせん県観光誘致協議会長・○
商品(価格)と税金を別々に示し、(価格転嫁しやすい)外税方式が時限立法で認められた。恒久化を
万歳章・全国農業協同組合中央会長・○
食料品への軽減税率をぜひ導入してほしい。1%ずつ(税率を)上げるのはコストがかかるので反対
古川康・佐賀県知事・○
景気減速を防ぐため、高速道路無料化など、人の移動や旅行のきっかけをつくる需要喚起策をしてはどうか
■第5日 国民生活・社会保障(2)
青山理恵子・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会副会長・○
生活困窮者や障害者に対しては、手厚い対策をとるべきだ。税収増はすべて社会保障費に充ててほしい
大久保朝江・NPO法人・杜の伝言板ゆるる代表理事・×
増税は仕方ないが、1年先送りすべきだ。被災地は復興が遅れており、増税がものすごく影響する
岡崎誠也・国民健康保険中央会長、高知市長・○
消費税は(低所得者ほど負担が重い)逆進性がある。増税と同時に低所得者対策をきめ細かくやってほしい
奥山千鶴子・NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長、NPO法人びーのびーの理事長・○
消費増税は子育て世代にとって本当に厳しいが、ここで上げなければ子育て支援を充実させられない
白石興二郎・読売新聞グループ本社社長(日本新聞協会長)・×
読売の主張は「来春の増税を見送り、15年10月に10%に」。新聞協会としての統一見解はない
清家篤・慶応義塾長、社会保障国民会議会長・○
予定通りの税率引き上げが将来世代の負担を軽減する。社会保障の安心は景気にもプラスの影響を与える
馬袋秀男・「民間事業者の質を高める」全国介護事業者協議会理事長・○
社会保障と税の一体改革の道筋をつけないと、12年後に100万人必要とされる介護の担い手が集まらない
林文子・横浜市長・×
増税はやむを得ないが、(時期が)来年4月と言い切ることはできない。国が慎重に判断することだ
広田和子・精神医療サバイバー・×
低所得者が一番打撃を受けるのが消費税だ。暮らしを守るため、増税前に社会全体を見直すことが大事だ
■第6日 経済・金融(2)
植田和男・東大院教授(マクロ経済学)・―
賛否は言わなかった。(増税を)ゆっくりやるのも一案だが、その時は税率10%の先の姿も同時に示すべきだ
菅野雅明・JPモルガン証券チーフエコノミスト・○
将来的には税率を20%に上げる必要がある。8%への増税の景気対策は3兆〜5兆円の補正予算が必要だ
国部毅・全国銀行協会長、三井住友銀行頭取・○
海外は増税を織り込んでおり、先送りすれば信認が揺らぐ。景気対策として公共投資や低所得者への給付も
高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト・○
財政規律を守る姿勢を示すことが重要だ。8%にも上げられないならば、10%はますます難しい
土居丈朗・慶大教授(財政学)・○
社会保障の世代間格差が広がっている。消費税で、高齢世代を含むすべての世代が負担を分かち合うべきだ
永浜利広・第一生命経済研究所主席エコノミスト・―
1997年の増税幅2%に対し、今回は3%で国民負担はより大きい。増税と合わせ、大胆な景気対策も必要
西岡純子・アール・ビー・エス証券東京支店チーフエコノミスト・○
増税しないと(国債の)格下げで金融市場が混乱する可能性がある。増税直後の大きな影響は長く続かない
本田悦朗・内閣官房参与、静岡県立大教授(国際金融)・×
1%刻みで増税してはどうかと提案した。デフレ脱却を確実に実行し、税収を上げることを重視すべきだ
吉川洋・東大院教授(マクロ経済)・○
社会保障を安定させ、財政再建を進める第一歩。よほどの出来事がない限り、やめるべきではない
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