【北林晃治】関東大震災(1923年)では、デマが元で多くの朝鮮人が虐殺された。そんな現場の一つ、東京・荒川のほとりに犠牲者を悼む碑を建て、守り続けている人がいる。虐殺の実態調査に取り組んできた市民団体「ほうせんか」の西崎雅夫さん(53)=東京都墨田区=だ。大震災から9月1日で90年。「90年前の悲劇を忘れないで」と訴える。
関東大震災「植民地下の故郷を離れ日本に来ていた人々が、名も知られぬまま尊い命を奪われた」。自宅に近い荒川の土手下に立つ碑にはこう刻まれている。西崎さんは「ここで多くの人が殺されたことはあまり知られていなかった」と説明する。
朝鮮人虐殺の実態調査に初めて参加したのは、大学生だった1982年。地元で小学校教諭らと一緒に目撃者の証言を聞いた。