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予算編成―しまりのなさに驚く

来年度の予算編成で、各省庁が財務省に概算要求を出した。一般会計の総額は過去最大の99・2兆円で、今年度予算を7兆円近く上回る。省庁ごと、分野ごとでも軒並み増額だ。[記事全文]

卵子の保存―利便を追う前に知識を

とうぶんバリバリ仕事をしたいが、将来は妊娠・出産を考えたい。そんなキャリア志向の独身女性にも、選択肢が広がりそうだ。日本生殖医学会が先週、健康な独身女性にも卵子の凍結保[記事全文]

予算編成―しまりのなさに驚く

 来年度の予算編成で、各省庁が財務省に概算要求を出した。

 一般会計の総額は過去最大の99・2兆円で、今年度予算を7兆円近く上回る。省庁ごと、分野ごとでも軒並み増額だ。

 査定はこれからだが、財政再建などどこ吹く風と言わんばかりのしまりのなさに、あきれるほかない。

 景気の回復基調を受けて税収は増加が見込まれ、来春には消費増税も想定される。

 一方、安倍政権はデフレ脱却へ「機動的な財政運営」を掲げる。先の参院選で業界団体の支援を受けた与党からは「予算を増やせ」の声がかまびすしい。古い自民党そのままだ。

 「入り」が増え、「出」には追い風が吹く。要求しなければ予算はつかないから、とにかく目いっぱい要求する。

 そんなゆるみきった構図の象徴が「特別枠」だろう。

 省庁の縦割りを超えて予算を重点配分するのが建前だが、防災や経済成長、地域活性化など実態は何でもありだ。

 国土交通省や農林水産省が特別枠をフルに使い、公共事業費の要求額を今年度予算より2割近く増やすなど、すっかり「別ポケット」になっている。

 財政難への危機感がないのだろうか。

 「入り」と「出」の現状を、今年度の一般会計で改めて確認したい。

 全体で92・6兆円に及ぶ歳出の半分近くは、借金(国債)でまかなっている。消費税収は社会保障にあてることになっているが、社会保障費が29兆円を超えるのに対し、国の消費税収は11兆円に満たない。

 税率を今の5%から10%に上げても足りず、しかも社会保障費は高齢化で毎年1兆円程度増えていく。

 消費税を除く所得税、法人税などの税収と、公共事業費など社会保障以外の政策経費を比べても、9兆円近い赤字だ。

 財政再建への出発点である「基礎的財政収支の黒字化」とは、こうした政策にかかわる不足分をゼロにすることだ。これ以外にも、過去に発行した国債の元利払い費(国債費、今年度は22兆円余)があることも忘れてはなるまい。

 財政の立て直しは、一朝一夕には達成できない。

 国の成長率を底上げして税収を増やす▼必要な増税策を実行する▼できるだけ少ない予算で効果をあげて歳出を抑えていく――この三つについて、不断の努力が欠かせない。

 このままの甘い姿勢では、いまに厳しいしっぺ返しが来る。

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卵子の保存―利便を追う前に知識を

 とうぶんバリバリ仕事をしたいが、将来は妊娠・出産を考えたい。そんなキャリア志向の独身女性にも、選択肢が広がりそうだ。

 日本生殖医学会が先週、健康な独身女性にも卵子の凍結保存を認める指針案をまとめた。年内にも最終決定する。

 だが、卵子保存に限らず生殖技術には限界も多い。利便性ばかりに目がいくと後悔しかねないことを知っておきたい。

 女性も男性も、自分たちのからだについて正しい知識を持つことが何より重要だ。

 夫婦間の不妊治療では、体外受精で余った受精卵を凍結保存する手法が普及している。

 また、がんの治療などで卵子に障害の起きる恐れがある独身女性では、未受精の卵子の凍結保存が試みられている。

 さらに海外では健康な独身女性の卵子保存が広まっているが、今は国内でもサービスを提供する医療機関が出てきた。

 生殖医学会は、独身女性の意思による保存が、十分な説明のないまま水面下で広まることを心配して指針案をつくった。

 採取は40歳未満、保存卵子の使用は45歳未満とする▼本人が死亡したり生殖可能年齢を過ぎたりしたら卵子は廃棄する▼口頭と文書で十分に説明して同意を得る――などの内容だ。

 若いうちに卵子を残しておくことで、出産時期をずっと容易にコントロールできる可能性がある。加齢に伴って卵子の質が落ちて妊娠率が下がる「卵子の老化」を避けられるからだ。

 だが、採卵の際は痛みや出血が起き、卵巣が腫れることもある。保管中の事故や取り違えのリスクもゼロではなく、費用もかさむ。なにより、受精卵に比べると卵子の方が保存は難しいとされ、妊娠・出産が保証されるわけではない。

 卵子だけ若くても、子宮などの老化や、パートナーの加齢が精子に及ぼす影響で流産しやすくなるという研究報告もある。

 そうした基礎知識は、男女問わず常識としたい。学校教育の中でも、一度は学ぶようにしてはどうだろうか。

 卵子の保存は、仕事や婚期の選択など社会的な制約に合わせて、自然のサイクルを調整しようとする試みともいえる。

 本来は、自然のサイクルを大事にして、社会の側が対応するのが望ましい姿であろう。

 自然妊娠率・出産率が高い20代から30代前半の女性が、出産と育児でキャリアを中断しても復帰しやすい社会に変えていくことが、より本質的で優先される課題といえよう。

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