【バンダルスリブガワン(ブルネイ)】中国の常万全国防相は29日、南シナ海における紛争を解決するための多国間アプローチには反対するとして、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の姿勢を批判した。
同国防相は、ASEAN拡大国防相会議後の記者会見で、南シナ海での紛争がASEAN加盟10カ国と中国との関係を損ねてはならないとした上で、多国間アプローチに反対する理由として、ASEANには紛争で果たすべき役割がないことを挙げた。同国防相は「これらの紛争は直接関係する国だけで解決されるべきだ」とし、「中国は紛争の国際化や複雑化はいかなるものであれ反対する」と強調した。
同国防相の発言は、中国国営通信社記者の質問に回答したもので、通訳を介して伝えられた。中国のこうした姿勢は目新しいものではない。
米国の当局者らは、常万全国防相のコメントに驚いていないと述べるとともに、中国はそれにもかかわらず、同海域での海上規則を構築する行動規範策定を交渉することでASEANと合意したと指摘した。
ただ、常万全国防相の発言は、ASEANに関する米国と中国の見解が大きく異なることを明確に示す形となった。米国は領土紛争の解決法について特定の見解を持っていないが、南シナ海での紛争を解決するための共通アプローチを見いだす上でASEANが一定の役割を果たすことを期待している。
29日の国防相会議で出された共同宣言には予想外のことはほとんどなかった。しかし、米国の国防当局者は、同海域を航行する船舶間の紛争を回避するための実際的な措置を取ることをASEANが支持したことに勇気づけられた、と述べた。会議参加国は同海域における船舶間の衝突を回避するために、もっと合同軍事演習を行うべきだとの提案を承認した。
会議を主宰したブルネイのヤスミン・エネルギー相は「海上での偶発的で望ましくない衝突を減らす」ためのメカニズムを構築することで合意できたと述べた。南シナ海には石油・天然ガス資源が豊富に眠っていることから、同海域ではここ数年緊張が高まっている。
ヘーゲル米国防長官は会議で、軍事協力および東南アジアでの合同演習の改善について一連の提案を行った。事前に配布された発言コピーによると、同長官は「合同演習は信頼と理解を高めるのに役立ち、紛争が起きた時にリスクを減らすことになる」と語った。また、アジア諸国に対して、人命・災害救助に関する標準手続きを米国とともに作り上げるよう要請し、これによって危機時の通信、指揮、コントロールが改善されると述べた。さらに、より活発な多国間対テロ対策、情報共有の改善などを提案。イラク、アフガニスタン戦争時に米国が開発した軍事医療技術の共有を申し出た。
米国は東南アジアでの活動をテロと海賊対策、それに人道的危機への同盟国の対応能力向上に重点を置こうとしている。
ヘーゲル長官はサイバー犯罪もそのリストに加え、北朝鮮はアジア太平洋地域全体を危機にさらしていると批判した。同長官は「海賊やテロリスト、大量破壊兵器所有国、疾病、自然災害、それにサイバー犯罪に国境はない。われわれが共同で対処できなければ、これらがわれわれ全ての将来を脅かすことになる」と指摘した。
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