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(他国の行動を大きく伝える)
今日8月30日の各新聞夕刊の1面は、「英、シリア攻撃不参加。議会が否決」という趣旨の、大きな見出しの記事でした。これ自体は、大きなニュースなのでしょう。
でも、諸外国の新聞のトップニュースに、「日本、××攻撃に不参加」というような記事が載ることは、いつのことでしょうか。その前に日本の新聞に、「政府、××攻撃に不参加」と載るのは、いつのことでしょうか。あるいは、そもそもないのでしょうか。
ここには、2つの要素があります。
一つは、「イギリスの行動はわかった。では、日本はどうするのか」と問われた場合の答です。 もう一つは、諸外国で、日本がどのように報道・評価されるかです。
もちろん、戦争は避けるに越したことはありません。また、戦争に関し、日本が世界でも珍しい憲法を持っていることも事実です。
しかし、イギリスの行動を報道・評価するなら、わが国の取るべき態度も明らかにすべきです。ともに参加するのか、身を挺して反対するのか、我がことではないと傍観を決め込むのか。他人のことを評論する際には、我が身に対する質問と答も用意すべきだと思います。
西欧各国の動向を大きく伝えることの裏側に、「日本は別ですよ」という意識が、潜んでいないでしょうか。それとも、イギリスやアメリカは大国で、日本はその他の国なのでしょうか。「一国平和主義」の限界が見えてきます。
私ならどうするか。あなたはどう判断しますか。難しいです。(2013年8月30日)
(責任者は何と戦うか。その2、周囲の評価)
昨日の記事に、読者から便りがありました。
「私にとっては、抽象的ではありません。これまでにないことが起きていて、何が起きているか把握している人が一人もいない。ぼんやりとした推測を前提に、対策を講じていくしかありません・・
そして問題の原点は、責任者が不明確なことがあります。関係する組織がたくさんある、かつその組織の中での責任体制が不明確だと、責任者が曖昧になります。すると、責任者=歴史の法廷に立てる人は存在しなくなります・・」といった趣旨です。
具体の事案に直面した方には、わかりやすいと思います。後段、ご指摘の通りです。それについては、追々書いていきます。
まず、昨日の続きです。
危機が起きたとき、責任者が立ち向かわなければならない「敵」は、事態でした。そして、「対応の仕方によって、周囲の人・マスコミ・国民が、責任者を見る目が違ってくる」ことを指摘しました。
そうです、戦わなければならない第二の敵は、「周囲の評価」です(敵という表現は、象徴的に使っているので、ご理解ください。
事故の際の記者会見が重要なことは、ご承知の通りです。しかし、そのような「狭い広報活動」だけでなく、責任者がどのように事態を把握し、対応しているかを、マスコミや世間はどう見ているかが重要です。
その際には、「彼が精一杯やってこれだから、仕方ないね」といわれるのか、「やはり彼がやっているから、ダメだよね」といわれるかという、基礎にある信頼も重要な要素です。
次回は、読者のお便りに答える形で、意思決定過程、責任者、責任の所在について、解説しましょう。昨日今日と解説したのは、「外の敵」です。それよりやっかいなのが、「内なる敵」です。(2013年8月29日)
(責任者は何と戦うか。その1、事態と戦う)
先日から、「責任者は何と戦うか」というテーマを考えていたので、その件について書きます。抽象的な話で、理解しにくいでしょうが、お許しください。
第一の事例は、危機が起きたときです。自然災害(例えば地震や津波)、大事故(原発事故、工場の爆発)、事件(組織内の不祥事)などが起きた場合です。
戦わなければならない「敵」の第一は、「事態」です。今起きている事態を把握できているか、そして掌握できているか。それとも、できていないか。これが、「勝てるか、負けるか」の分かれ道になります。把握は全体の情報を持っていること、掌握はコントロールできていることと、しておきましょう。
事態を把握・掌握できておれば、対応は容易です。しかし、大きな危機の場合は、全体像を把握することは困難です。その場合は、情報不足を想像力で補う必要があります。そして、この先どのような事態になるかという「予想」も必要です。相手が自然やモノなので、人を相手にするよりは、予想は楽な面もあります。相手が人だと、次にどんな手を打ってくるか、可能性が広がり、予測が大変です。
その情報や予測を基に、先手を打つことができるか、後手に回るか。攻めて行くか、受け身に回るか。これで、事態が収束できるかどうかが、決まります。さらに、周囲の人・マスコミ・国民が、責任者を見る目が違ってきます。
すなわち、同じ大きな被害であっても、「責任者が把握し対策を打っている(それでもこれだけの被害になっている)」と皆が思うか、「責任者が事態を掌握できていない(だから被害がこんなに広がっている)」と思われるかの違いです。「後手に回っている」という、新聞記事の見出しを想像してください。この項、続く。(2013年8月28日)
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