ここに注目! 「どうなる日韓関係」2013年08月23日 (金)

出石 直  解説委員

関係が悪化している韓国との協議にあたるため、外務省の担当局長がきのう(22日)からソウルを訪れています。関係修復に向け首脳会談がいつ実現するかが焦点になっています。出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。

Q1、首脳会談はどれくらいの間、開かれていないのですか?

A1、1年以上、開かれていません。去年5月に、当時の野田総理大臣とイ・ミョンバク大統領が北京で会談したのが最後です。その後、日本も韓国も政権が交代しましたが、新しい政権になってからまだ一度も首脳会談は行われていません。これは、異常なことと言ってよいと思います。
 
Q2、何が障害になっているのでしょうか?
 
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A2、何と言っても「歴史」の問題が最大のネックになっています。
パク・クネ大統領は、先週の演説でも「日本の政治家は、過去の傷をいやす勇気を示さなければならない」と述べています。「歴史の問題を解決しないことには先に進めない」と、いわば入口論に立っているように思われます。これに対して日本政府は「歴史の問題は専門家に任せる」、いわば歴史の問題はいったん脇に置いてできることから始めようという立場ですから、なかなか妥協点をみつけることができません。
 
Q3、韓国政府は、なぜそこまで歴史の問題にこだわるのでしょうか。

A3、確かに歴史の問題は今に始まったものではないのですが、韓国ではこのところ「日本は右傾化している、再び軍国主義の道を歩もうとしている」という警戒感が強まっているのです。日本の憲法改正の動きや、慰安婦問題やナチスドイツをめぐる一部の政治家の発言を受けて、「日本は過去を反省していない」という世論が高まっています。韓国の裁判所でも、日本の過去の責任を厳しく問う判決が相次います。政府、世論、それに司法が、いわば一体となって「日本はけしからん」とヒートアップしているようにも見えます。
 
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Q4、そうなると、関係修復はなかなか難しいということなのでしょうか。

A4、簡単ではありません。ただ「互いに重要なパートナーだ」という認識では一致しています。今、もっとも必要なのは「対話」ではないでしょうか。双方、色々思いはあるにせよ、まずは会って率直に意見交換をして、信頼関係を積み重ねていくことだと思います。秋にはG20サミットなど首脳が出席する国際会議がいくつか予定されています。
こうした機会を捉えて、日韓首脳会談が実現できるよう双方で努力して欲しいと思います。