サカナの進化といってもサカナすべてというわけではないのですが、サカナの主要なグループである硬骨魚類の中でも主要なグループである英語では spiny-rayed fish と呼ばれるグループの進化の全貌です。日本語では棘鰭上目(きょくきじょうもく)と呼ばれるグループのお話です。ウィキペディアによれば、この仲間には「スズキ目やカサゴ目など13目267科2,422属が所属し、魚類全体の約半数にあたる14,797種が含まれる」のだそうです。この種数の多さはなんと現存の脊椎動物の3分の1を占めるというとても繁栄しているグループということになります。
spiny-rayed fish は化石の研究でも、白亜紀の終わりの恐竜などの大絶滅期の後に 爆発的な種分化が起こったとされていたのですが、今回の分子生物学的解析でもそのことが示されています。
上の円になった系統樹には、1億5千万年の spiny-rayed fish の進化の歴史が描かれていますが、現在に至る中間地点に近いところに引かれた点線の円が白亜紀と古第三紀のK/Pg境界です。これはユカタン半島に大隕石が落ちて地球の気候が変わり、大型爬虫類の絶滅のきっかけとなったといわれるところで、今回取り上げられたサカナの進化もそこを境に爆発的な放散進化を遂げたということがこの図からわかります。