名古屋グランパスのMF小川佳純(29)が30日、ベストアメニティ・スタジアムでの自身初めての鳥栖戦に向け、感慨と特別な意気込みを明かした。鳥栖は大学4年時に2度練習参加し、入団を真剣に検討していたクラブ。今でも鳥栖のフロントスタッフらとは親交があり、一度は“ホームデビュー”を夢見たスタジアムでの初試合で、一流のプロとして成長した姿を披露する。
台風15号の直撃により試合延期の可能性もある敵地での鳥栖戦。選手たちが覚悟を決めて前泊地の福岡入りするなか、小川は特別な思いを秘めていた。「個人的にはあのスタジアムで早く試合をしたかった」。昨年のアウェーは佐賀市で行われ、今季のナビスコ杯では故障で遠征メンバーから外れた。小川にとっては初めてのベアスタ。それは、“幻のホーム”でのデビュー戦となる。
7年前の06年夏、明大4年の小川は鳥栖に2度練習参加。当時の岸野ヘッドコーチらから熱い指導を受け、入団へと傾いていた。「鳥栖に行こうと思っていた。スタジアムの雰囲気もいいし、そこでやってみたかった」。最終的には、正式オファーが先だったことや、J1でのプレーを優先し、グランパスを選んだ。それでも、プロ入り後、他クラブの選手となった小川の活躍を、鳥栖のスタッフや関係者は喜び、会う度に激励してくれたという。
「先に鳥栖からオファーをもらっていたら、違う人生になっていた。この先、鳥栖でプレーする可能性だってなくはない」とまで語った小川。だからこそ、中途半端なプレーは見せられない。全力で勝ち点3を奪いに行くことが、快く応援してくれている鳥栖関係者に報いるということはわかっている。「台風だから楽しむ余裕があるのかわからないけど」と苦笑いしつつ、グランパスの背番号「10」は、特別な一戦への気持ちを静かに高ぶらせていた。 (宮崎厚志)
◆台風で延期可能性も 選手はやる気満々
台風15号が試合時間に九州北部を通過する予報のため、鳥栖戦の延期の可能性が出てきた。最終的にはマッチコミッショナーが当日判断するが、グランパスの選手らは試合開催を希望。FW玉田は「疲れはたまっているところだけど、先延ばしにはしたくない」と話し、DF阿部は「昔から台風が来るとワクワクするタイプだった。ある意味思い出に残る試合になる」と歓迎。福岡県出身の永井は「福岡は結局台風が直撃しないところ。今回もそれると思う」と予言した。チームは30日、飛行機移動を取りやめ、新幹線で福岡入りした。
この記事を印刷する