UPDATE 2-鉱工業生産7月は落込み取り戻す、設備投資関連出荷の回復鮮明に
(内容を追加しました)
[東京 30日 ロイター] - 7月の鉱工業生産速報は前月比3.2%の上昇となり、6月の落ち込み分を取り戻した。先行き8月、9月の予測指数も上昇見通しとなり、緩やかながら上向きが続く。7─9月は前期比2%を超え、生産の増勢はこれまでより強まる見通しだ。特に注目されるのが、一般機械類や情報通信機械など資本財出荷が前年比増加に転じた点。出遅れ感のある設備投資に動意がうかがえる内容となった。
<緩やかな回復感、設備投資関連に動意>
7月の生産指数は97.7、前月比3.2%上昇と事前の市場予測(3.7%上昇)を下回ったが、前月の落ち込みを取り戻した。はん用・生産用・業務用機械や電子部品・デバイス、輸送機械と前月の落ち込みが大きかった業種は、いずれも大きく伸びた。全体の生産水準も、前年比1.6%上昇と1年ぶりに増加した。
先行き予測指数も、8月は前月比0.2%上昇、9月は1.7%上昇と緩やかながらも、上昇傾向は続く。7─9月は予測指数を前提にすると、98.4に上昇する。前期比2%を超える伸びとなり、1─3月の0.6%上昇、4─6月の1.5%上昇から、増勢を強める見通しだ。
7月の特徴は、資本財出荷に明るさが見えてきた点。景気回復のもとでも設備投資になかなか動意が見えなかったが、関連性の高い資本財出荷(除く輸送機械)が前年比で1.0%の増加に転じた。昨年は前年比で6%もの落ち込みとなり、設備投資は停滞感が強かったが、今年に入り前月比でも少しずつ上昇する月が表れていた。
中でも、情報通信機械はデータ通信用の基地局増設などで7月の生産は前月比9%の高い伸びを示すなど、このところ生産・出荷は上昇傾向だ。はん用・生産用・業務用機械も昨年末から徐々に出荷が増加に転じ、7月は前年を上回る水準となった。
<輸出動向に不安、生産伸び悩みの要因に>
生産の回復傾向は続く見通しながら、その勢いには不安の声も出ている。
伊藤忠経済研究所では「鉱工業生産は増加基調にあるものの、増勢は依然として鈍いものにとどまる」とみている。その背景には「輸出の回復に弾みがついていないことがある。円安が輸出を数量面から下支えしているものの、新興国を中心に景気回復ペースが鈍化していることが生産の下押し圧力となっている」と分析する。
実質輸出をみると、年初来徐々に増加傾向がうかがえたが、7月は減少している。
また内需を支えてきた消費の需要が、ここ2、3カ月、やや増勢に陰りがみられることも不安材料だ。、消費者心理は景気ウォッチャー調査や消費動向調査でさえない展開が続いているほか、7月鉱工業生産統計でも耐久消費財は3カ月連続で前月比低下、非耐久消費財も2カ月連続で低下している。株価上昇による資産効果がはく落してきたことが背景との指摘もある。
農林中金総合研究所では「先行きのリスク要因は決して小さくない点にも留意すべき」とみている。「最近の国内乗用車販売は頭打ち気味で推移しているほか、新興国の金融市場などで変調も見られる。世界経済全体の回復テンポが依然鈍いこともあり、輸出数量の増加傾向がまだ明確化していない」などの点をあげている。 内外需に不透明感もある中で、8、9月の緩やかな生産上昇見通しが下振れる可能性も否定できない。 *経産省の発表資料は以下のURLでご覧ください。 here
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