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派遣見直し―働き手を守る覚悟は

労働者派遣制度の改革をめぐる議論が、労使が参加する厚生労働省の審議会できょうから本格的に始まる。重要なのは、「派遣切り」に象徴される不安定な働き方が改善されるかどうかだ[記事全文]

はだしのゲン―図書で知る戦争と平和

小・中学校に対し、漫画「はだしのゲン」を図書館で自由に読めなくするよう求めていた松江市教委が、措置を撤回した。事務局が教育委員に相談しないまま決めていたことから、5人の[記事全文]

派遣見直し―働き手を守る覚悟は

 労働者派遣制度の改革をめぐる議論が、労使が参加する厚生労働省の審議会できょうから本格的に始まる。

 重要なのは、「派遣切り」に象徴される不安定な働き方が改善されるかどうかだ。

 それには、派遣業界が働き手の側に立つことを制度化する必要がある。規制緩和だけ進めるのなら理解は得られない。

 議論の「たたき台」となるのは、学者を集めた厚労省の研究会がまとめた報告書だ。

 内容を大づかみにいえば、「派遣先で労働者がどう働くか」については、規制を緩和する一方、「派遣元がどう労働者を保護するか」については規制を強化する。

 労働力の需給調整という派遣制度の機能を正面から認めており、業界大手が加盟する「日本人材派遣協会」の要望に沿ったものといえる。

 現行法では、ずっと派遣に任せていいのは26の専門業務に限り、そのほかの業務には最長3年の上限を設けている。

 「ずっと続く仕事なら、正社員にさせるべきだ。そこに派遣労働者が入って、正社員が代替されるのを防ごう」という理念が背景にあった。

 報告書は、この考え方を見直し、仕事の内容による区別の撤廃を提言した。

 いまや非正規雇用は、働き手の3人に1人、1800万人に及ぶ。派遣社員は約137万人で、パートやアルバイトにはない特別な規制を、派遣にだけかける意味は薄い。専門26業務の中身もあいまいになっていた。区別の撤廃自体は妥当だろう。

 焦点は、派遣会社が派遣労働者をきちんと保護できるかどうか、である。

 報告書は、派遣会社との契約が有期の場合、3年の派遣上限に達した働き手に対して、派遣会社に「雇用安定化措置」を講じるよう義務づける。

 具体的には、(1)派遣先に直接雇ってもらうよう申し入れる(2)新しい派遣先を提供する(3)働き手との契約を無期雇用にする、のいずれかだ。

 もっとも現実的なのは(2)だろうが、切れ目なく派遣先を用意し続けるには、派遣会社側に相当な努力が必要となる。

 逆にいえば、派遣労働者の生活を安定させる力のない派遣会社は、ビジネスを続ける資格がないという意味でもある。

 全国に8万3千近くある派遣会社のうち、かなりの数は淘汰(とうた)される可能性があるが、働き手にしわ寄せがいかない形で進めるしかない。

 業界の覚悟が問われている。

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はだしのゲン―図書で知る戦争と平和

 小・中学校に対し、漫画「はだしのゲン」を図書館で自由に読めなくするよう求めていた松江市教委が、措置を撤回した。

 事務局が教育委員に相談しないまま決めていたことから、5人の委員全員が「手続きに不備があった」と判断した。

 閲覧規制を白紙に戻したのは良識的な結論と言える。ただ、理由が手続きの問題にとどまっているのは残念だ。

 ことの発端は昨年8月。旧日本軍の戦場での行為や昭和天皇の戦争責任に関して「ゲン」の歴史認識に誤りがあり、学校図書館から撤去してほしいとの陳情があった。市議会は不採択にし、市教委もそのときは撤去に応じない方針を示した。

 閲覧制限を支持する人たちの間では、陳情と同じように、反天皇制的だなどと、漫画の歴史認識を問題視する声が目立つ。

 だが、ゲンの真骨頂は作者の中沢啓治さんが実体験した原爆の悲惨さを見事に伝えている点にある。だからこそ、国内外で読み継がれてきた。その作品を、歴史観の相違を訴える人がいるからと、子どもたちの前から「排除」しようとする主張は、あまりに視野が狭い。

 全編に作者の強烈な思いがこもるゆえに、人を引きつける作品は多い。一部分が気に入らないからと全体を否定するのは、図書に対する理解不足だ。

 撤去に応じなかった当初の市教委の姿勢は正しかった。ほかの教育委員会も今後、手続き論でなく、規制の要請をきっぱりと突っぱねるべきである。

 問題は、いったん要請をはねつけた後の市教委事務局の対応だ。当時の教育長ら幹部5人がゲンを読み直した結果、旧軍のアジアでの行為を描いた最終巻のシーンが「残酷」との見方で一致し、閲覧制限を小・中学校に求めることにした。

 発達段階にあるからこそ、子どもたちが本を自由に読む機会も、最大限に保障されなければならない。市教委事務局の対応には、その点への目配りがあまりに欠けていた。

 戦争は残酷だ。そこを正面から問う本を、教育にどう生かしていくか。知恵と工夫を重ねる必要があるが、戦争を知らぬ世代に残酷さから目を背けさせるばかりでは、平和の尊さを学びとれない。

 もとより、本を読むかどうかは子ども自身の選択が大切である。そこを基本に、読むことを選んだ子たちが抱いた疑問や衝撃にはしっかり応えていく。

 そうした図書との上手なつきあい方を、教育現場や家庭で広めていきたい。

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