シャープ、サムスンとの提携交渉を打ち切り 日本の技術“コピー”に待った!

2013.08.29


日本の複写機の技術を狙ったサムスン(AP)【拡大】

 経営再建中のシャープが資本・業務提携した韓国サムスン電子と、複写機事業に提携を拡大する交渉を打ち切った。重要な特許を保有するキヤノンなど国内大手メーカーがサムスンへの技術流出に強い懸念を抱き、シャープに見直しを迫った。日本の先端技術と市場シェアを韓国に奪われる最悪の事態を食い止めた。

 スマートフォンに続く成長事業が定まっていないサムスンは、日本勢が圧倒的なシェアを握る複写機事業に目を付け、経営不振のシャープに手を差し伸べた。複写機事業の買収を拒否されたため、複写機の販売を担う共同出資会社の設立を検討、交渉していた。

 これに「サムスンに付け入る隙を与えるのはもっての外だ」(業界関係者)と国内大手メーカーが待ったをかけた。主力のA3サイズのデジタル複写機でリコー、キヤノン、米ゼロックス(富士ゼロックスを含む)が3強。コニカミノルタとシャープを含む5社で約80%のシェアを握る。

 大手3社は現時点ではサムスンを歯牙にも掛けていないが、シェア10・6%を持つ5位のシャープと組めば様相は変わる。先端技術に加え、保守や消耗品などのアフターサービスのノウハウまで、サムスンに丸ごと“コピー”されてしまう恐れがあるためだ。「業界を代表しキヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長最高経営責任者(CEO)が水面下で動いた」(別の業界関係者)という。

 複写機は、各メーカーが保有する特許を相互に使用し、センサーなどの先端技術を結集して生産する。そこで、大手3社はシャープに対し、サムスンと提携した場合、特許の使用許諾関係を見直すと通告した。特許保有で優位にある大手3社が厳しく査定すれば、後発のシャープは100億円単位の追加支払いが必要になる恐れがあり、利益が吹き飛びかねない。追い詰められたシャープ首脳は8月下旬に交渉をいったん打ち切った。

 半導体や液晶でも日本は韓国との提携を機に技術流出した。今回はひとまず失敗を繰り返さずに済んだようだ。

 

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