ライフ【ディオバン・歪んだ臨床研究(上)】「日本人にだけ特によく効く薬」…脳卒中、心臓疾患リスク低減の大ウソ+(3/4ページ)(2013.8.24 12:00

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【ディオバン・歪んだ臨床研究(上)】
「日本人にだけ特によく効く薬」…脳卒中、心臓疾患リスク低減の大ウソ

2013.8.24 12:00 (3/4ページ)westセレクト
高血圧だけでなく、心臓病などにも効くとされた臨床研究の結果の捏造疑惑が浮上しているノバルティス社の高血圧薬「ディオバン」(一般名、バルサルタン)。ノ社は、高血圧症への有効性、安全性に問題はないとしている

高血圧だけでなく、心臓病などにも効くとされた臨床研究の結果の捏造疑惑が浮上しているノバルティス社の高血圧薬「ディオバン」(一般名、バルサルタン)。ノ社は、高血圧症への有効性、安全性に問題はないとしている

 この臨床研究では平成24年9月までに計7本の論文が発表された。これらの論文では、2つのグループで血圧の下がり方に大きな違いはないが、ディオバンを投与したグループでは、心臓病などのリスクが半減すると結論づけていた。

 しかし、この調査結果については、発表直後から、「(データが)あり得ないくらい一致している」といった指摘が英医学誌に発表され、さらに「血圧の下がり方が他の薬と変わらないのに、リスクだけ下がるという結果は不自然」との疑問の声があがった。

 こうした疑問に、松原元教授らは「アジア人、特に日本人では血圧の低下にかかわらず効果が高い」と反論していた。

 その後、このうち6本の論文について、国内外の学術誌が「データに問題がある」などの理由で掲載を撤回。結局、内容について再検証していた府立医大も7月11日の会見で、「この臨床研究による論文の結論は支持することができない」との結論を発表した。

食い違うデータ

 府立医大の再検証は、臨床研究が対象とした約3千件の症例のうち、府立医大病院にカルテが残っていた約220件について、論文のもとになったデータと比較した。

 すると、カルテに記載のない病気が論文データに存在したり、カルテに記載された病気が論文データにはなかったりといった不一致が、計34件あった。

 こうしたデータの操作により、ディオバンを使ったグループで心臓病などの発生数が少なくなり、もう一方のグループでは発生数が多くなっていた。

 府立医大病院以外の病院の症例でも、医師がコンピューターに入力したデータと論文データに違いがあり、同様に不正な操作があったとみられる。正しいデータを使うと、ディオバンを投与したグループで心臓病などのリスクが減るという結果は確認できなかった。

このニュースの写真

臨床研究のデータ不正操作が発覚し、多くの報道陣が詰めかけた京都府立医大の会見=7月11日、京都市上京区
会見で謝罪する京都府立医大の吉川敏一学長(中央)ら。臨床研究データの不正操作が発覚した=7月11日、京都市上京区

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