- [PR]
ライフ
【ディオバン・歪んだ臨床研究(上)】「日本人にだけ特によく効く薬」…脳卒中、心臓疾患リスク低減の大ウソ
この臨床研究では平成24年9月までに計7本の論文が発表された。これらの論文では、2つのグループで血圧の下がり方に大きな違いはないが、ディオバンを投与したグループでは、心臓病などのリスクが半減すると結論づけていた。
しかし、この調査結果については、発表直後から、「(データが)あり得ないくらい一致している」といった指摘が英医学誌に発表され、さらに「血圧の下がり方が他の薬と変わらないのに、リスクだけ下がるという結果は不自然」との疑問の声があがった。
こうした疑問に、松原元教授らは「アジア人、特に日本人では血圧の低下にかかわらず効果が高い」と反論していた。
その後、このうち6本の論文について、国内外の学術誌が「データに問題がある」などの理由で掲載を撤回。結局、内容について再検証していた府立医大も7月11日の会見で、「この臨床研究による論文の結論は支持することができない」との結論を発表した。
食い違うデータ
府立医大の再検証は、臨床研究が対象とした約3千件の症例のうち、府立医大病院にカルテが残っていた約220件について、論文のもとになったデータと比較した。
すると、カルテに記載のない病気が論文データに存在したり、カルテに記載された病気が論文データにはなかったりといった不一致が、計34件あった。
こうしたデータの操作により、ディオバンを使ったグループで心臓病などの発生数が少なくなり、もう一方のグループでは発生数が多くなっていた。
府立医大病院以外の病院の症例でも、医師がコンピューターに入力したデータと論文データに違いがあり、同様に不正な操作があったとみられる。正しいデータを使うと、ディオバンを投与したグループで心臓病などのリスクが減るという結果は確認できなかった。
このニュースの写真
関連トピックス
関連ニュース
- [PR]
- [PR]