ライフ【ディオバン・歪んだ臨床研究(上)】「日本人にだけ特によく効く薬」…脳卒中、心臓疾患リスク低減の大ウソ+(1/4ページ)(2013.8.24 12:00

  • [PR]

ライフ

【ディオバン・歪んだ臨床研究(上)】
「日本人にだけ特によく効く薬」…脳卒中、心臓疾患リスク低減の大ウソ

2013.8.24 12:00 (1/4ページ)westセレクト
高血圧だけでなく、心臓病などにも効くとされた臨床研究の結果の捏造疑惑が浮上しているノバルティス社の高血圧薬「ディオバン」(一般名、バルサルタン)。ノ社は、高血圧症への有効性、安全性に問題はないとしている

高血圧だけでなく、心臓病などにも効くとされた臨床研究の結果の捏造疑惑が浮上しているノバルティス社の高血圧薬「ディオバン」(一般名、バルサルタン)。ノ社は、高血圧症への有効性、安全性に問題はないとしている

 高血圧の治療に使われる降圧剤「ディオバン」(商品名・バルサルタン)を使った京都府立医大(京都市上京区)の臨床研究データが不正に操作されていた。高血圧治療薬が、脳卒中や心臓病にも高い効果があるように装った疑いがある。東京慈恵医大でも、論文データが人為的に操作されていたことが判明した。いずれも研究に関与した販売元の製薬会社「ノバルティスファーマ」(東京)の元社員が「キーマン」として浮上している。問題は日本の臨床研究の信頼性を揺るがしかねない事態に発展しており、厚生労働省が設置した検討委員会でも元社員に事情を聴くことが必要だとする意見が相次いだ。

「刑事告発も必要」

 「この委員会へ元社員に来てもらって直接話を聞きたい。それだけでも今ここで決めてはどうか」

 一連の問題を受け、厚労省は実態を解明して再発防止策を協議するための検討委を設置。8月9日に開かれた第1回の検討委では、真相を明らかにするためには元社員を呼ぶべきだとの声が続出し、森嶌昭夫委員長(名古屋大名誉教授)は「その方向で考えたい」として、事情聴取に応じるよう元社員に検討委として要請する方針を示した。

 検討委は、医療や法律の専門家ら12人で構成。ディオバンの臨床研究を行った府立医大などの5大学やノ社の担当者も出席して経緯などを説明した。委員からは「研究に参加した元社員の旅費はどこが負担したのか」「元社員のメールアドレスは調べたのか」といった厳しい質問が次々と浴びせられ、担当者らが額に脂汗をにじませる場面もあった。

 検討委では、ディオバンの臨床研究を行った5大学に対し、ノ社が計約11億3千万円の奨学寄付金を提供していたことが判明。さらに、元社員はノ社の業務としての出張で各大学の研究に参加していたことや、大学側が元社員に事情を聴いた際にはノ社の代理人を務める弁護士が同席したことなども明らかになった。田村憲久厚労相は、9月末までに当面の報告をまとめるよう指示した。

このニュースの写真

臨床研究のデータ不正操作が発覚し、多くの報道陣が詰めかけた京都府立医大の会見=7月11日、京都市上京区
会見で謝罪する京都府立医大の吉川敏一学長(中央)ら。臨床研究データの不正操作が発覚した=7月11日、京都市上京区

関連トピックス

関連ニュース

  • [PR]
  • [PR]

[PR] お役立ち情報

PR
PR

このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。
© 2013 The Sankei Shimbun & Sankei Digital