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高血圧薬改ざん 元社員、11年で講義1回

大阪市大 非常勤講師 ほぼ実態なし

 製薬会社ノバルティスファーマの高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究データが改ざんされていた問題で、大阪市立大非常勤講師の肩書で研究に参加していたノバ社の元社員(今年5月退職)が、講義したのは非常勤講師を務めた11年間で1回だけだったことが、同大学の調査でわかった。

 同大学は問題が発覚するまでこうした勤務実態を把握しておらず、今後、非常勤講師の委嘱のあり方を見直す方針だ。

 調査では、医学部の教員が知人から、「医学の統計分析に詳しい」と元社員を紹介され、医学部の非常勤講師になるよう頼んだ。元社員は2002年4月から今年3月まで務めた。任期は1年で、1年ごとに委嘱が更新されてきた。報酬は本人が辞退したため、支払われなかった。

 委嘱期間中に担当した講義は、06年11月に大学院生を対象にした「医学研究のための統計学」の1回だけ。ほかに、ゼミなどで大学院生を指導することもあったが、数回程度といい、勤務実態はほぼゼロだった。

 同大学によると、医学部には昨年度、非常勤講師が488人おり、このうち432人が元社員と同様に無報酬だった。大半は他の医療機関の医師で、医療機関に出向いた学生に医療技術を指導する活動が主だとしている。非常勤講師の委嘱は教員らが大学側に申請。学内の委員会が可否を判断するが、無報酬の場合は、ほぼ認められるという。

 大学側は「非常勤講師の制度は学生の教育にメリットがあるが、今回の問題では肩書を利用された面もある」としている。

 ディオバンの臨床研究は、京都府立医大、慈恵医大(東京)、千葉大、名古屋大、滋賀医大の5大学が実施。このうち、京都府立医大と慈恵医大は、論文のデータに改ざんがあったとする調査結果を発表し、データの解析を担当した元社員の関与が疑われている。

 臨床研究が行われた当時、元社員は現役社員だったが、5大学の発表論文には、社名を出さず、大阪市立大の所属と記載していた。慈恵医大と千葉大の論文では、大阪市立大での所属先を「臨床疫学」講座と記載していたが、同大学によると、この名称の講座は学内に存在しない。

2013年8月22日 読売新聞)

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