森本日銀委員:消費増税先送りの市場の反応は「見極め付きにくい」
8月29日(ブルームバーグ):日本銀行の森本宜久審議委員は29日午後、盛岡市内で会見し、来年4月から2度にわたり予定されている消費税率引き上げが先送り方向で見直された場合、金融市場の反応は「見極めが付きにくい」と述べ、金融市場の波乱要因になる可能性があることに懸念を示した。
同委員は「今、引き上げた場合の経済への影響を緩和したりする方法など、いろいろ考えている方がおられて案が示されており、それぞれ考え方のメリット、デメリットを考慮しておられると思う」と指摘。その上で、増税が延期された場合の影響について「過去にもなかなか例がないし、どういう見方をされるのか、信認がどうなるのかについては、なかなか見極めが付きにくいのではないか」と述べた。
さらに、日本の財政運営に対して警告を発した国際通貨基金(IMF)のリポートを引用した上で、国際的にも「日本の財政に対する強い関心が寄せられているのは事実だ」と言明。「そういう面からも、どういった評価を受けるかについては、政府の方でもしっかり見極めて、いろいろ考えていかれるのではないかと思っている」と語った。
森本委員は同日午前の講演で、「わが国の財政は厳しい状況にあり、財政に対する信認が低下するような場合には、長期金利が景気・物価と整合的でない形で上昇する可能性がある」と述べた。政府は今週、有識者を招いて来年度からの消費税率引き上げの是非について、意見を聴取している。甘利明経済再生担当相は25日、NHK番組「日曜討論」で、安倍晋三首相が消費税増税について10月上旬までに判断するとの見通しを示した。
最大のリスクである海外経済も持ち直しへ森本委員は政府に対し、「日本の財政は大幅な赤字が続き、政府債務残高も極めて高い水準にある。今後、財政再建の道筋を明確にし、財政構造改革を着実に推進されることを強く期待している」と述べた。
国内の景気については「緩やかに回復しつつある。前向きな動きが広がっており、生産・所得・支出の好循環が見られ始めている」と指摘。生鮮食品を除く消費者物価が6月に前年比0.4%上昇したことにも言及し、経済・物価情勢は「現在のところ、日銀のシナリオ通りに動いている」と語った。海外経済については「最大のリスク」としながらも、「持ち直しに向かって進んでいる」との見方を示した。
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更新日時: 2013/08/29 15:48 JST