2013-08-25 12:07:43

『 なつ 』

テーマ:* なつくんのこと

陣痛促進剤を使い

赤ちゃんを普通分娩で産むことになりました



怖さはありませんでした



痛みをしっかり感じてこの子を産もうと心に決めていました

その痛みが わたしのお腹に赤ちゃんがいた証だと思ったから ―






膣坐薬を3時間おきに4回入れて 陣痛を起こすことになりました

赤ちゃんは 早ければ夜には産まれてくるだろうということでした



薬を入れるまでもなく 点滴(張り止め・流産抑制)が外されて間もなくすると

昨夜から続いていた子宮が収縮するようなお腹の痛みが強まりました



陣痛はすでに始まっているようでした



痛みはどんどん強くなり 1分間続く痛みが1分間隔でやってくるようになりました

汗をびっしょりかきながらベットの柵を握りしめて痛みに耐えました



旦那さまとお母さんがすぐに駆けつけてくれました



痛みの合間に 3人で赤ちゃんのことをたくさん話しました

旦那さまに この子に名前をつけてあげてとお願いしました

まだ男の子か女の子かわからなかったので どちらだったとしても素敵な名前をと・・・





『 なつ 』 ・・・は?

旦那さまが言いました



病室の窓の外 空は青く晴れ渡る 暑い暑い夏の日のことでした

この子は 夏の日に生まれてくる



『 なつ 』 いいね・・・ とってもいい名前だね



わたしたちの赤ちゃんの名前は 『 なつ 』 に決まりました





1分間隔の痛みが10時間続き体力も消耗してきた頃 痛みが一段と強まりました

すでに真夜中で 旦那さまもお母さんも一旦帰宅していました



間隔が短くなり 痛みは耐え難いほど激しさを増しました

汗がぐっしょりと背中をつたいました

助産師さんが片時も離れず ずっとずっと付き添っていてくれました



― 突然 痛みが変化しました



丸くて硬い小さなボールのようなものが グググッと降りてくる痛み



ものすごい痛みだったけれど 痛みと向き合わなきゃいけないって思いました

これはなつの痛み なつがわたしのお腹にいる証



なつ・・・ なつ・・・ 



ひたすら なつのことを想っていました
痛みで2度 気を失いそうなりました



助産師さんが内診をはじめました

赤ちゃんが降りようとがんばっているのだけれど

子宮口が開ききっていなくて出てこれない状態だといいます



助産師さんの手で 子宮から大量の血の塊が引きずり出されました

ズルズル・・・っと塊が出るのを感じた後 それを境にそのまま痛みが引いてしまいました



なつが出てくるのは 『 あした 』 になりました







― なつ 今日はがんばって降りてくるんだよ



翌朝から 膣坐薬での陣痛促進が再開されましたが

結局 なつは2日目も産まれてきませんでした



先生から 翌日麻酔をかけてわたしが眠っている間に

赤ちゃんを出してあげることにしよう と説明がありました



助産師さんが まだお母さんと一緒にいたいんだねと言ってくれましたが

わたしはどこまでも母親になれない自分を情けなく腹立たしく感じていました



今まで全然ダメなお母さんだった分

最期くらいしっかりこの子を産んであげたかったのに



この子を産む痛みを感じ遂げることが

わたしがお母さんとして果たせる最期の役割だと思っていたのに ―







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