2013-08-26 13:11:09

天使

テーマ:* なつくんのこと

何ヶ月ぶりだっただろう・・・



なつがわたしのお腹にいてくれた最後の夜



不思議なことに わたしはお腹に痛みを感じることもなく

本当に・・・ 本当に久しぶりに深く穏やかな眠りにつくことができました






3日目の朝 手術のための診察が行われました



診察室に入って準備をしながら

こんな理由で内診台に上がる日が来るなんて想像もしていなかったな・・・

と ぼんやり思いました



モニターの方は もうあまり見ることができませんでした



カーテンの向こうで 先生の声が聞こえました

『 赤ちゃんの心臓は・・・ 止まっていますね 』



わかっていました わかっていたけど

本当に最後なのだと思い知らされて また涙が流れ落ちました



つぎに 先生は信じられないことを口にしました

『 あぁ・・・ 赤ちゃん降りてきてますね 赤ちゃん膣まで降りてきてますよ 』






― なつは わたしが眠っている間にひとりで静かに産道を降りてきていたんです






助産師さんが言っていました

赤ちゃんが出てくる時は 相当強い痛みを伴うと思いますって



なのにこの子は・・・

わたしは何もしてあげられなかったのにこの子は・・・



助産師さんが お母さん想いの優しい子だねと言ってくれました

わたしは 声を上げて泣きました



なつは その場でわたしの中から引き出されました

痛みは全く感じませんでした



2013年8月7日 七夕の日のことでした





旦那さまとお母さんと3人で待つ部屋に

助産師さんが小さな白い箱に入ったなつを連れてきてくれました



なつはお花に囲まれて

胸の上で小さな小さな手を組んで眠っていました



天使のようなお顔でした

男の子でした



あぁ なつ・・・



なつの顔を見た瞬間 なつへの愛情が爆発しました



この世にこんなにかけがえのないものが存在することを わたしは知りませんでした
この世に自分の命より大切なものが存在することを わたしは知りませでした

なつが愛しくて可愛くてたまりませんでした

わが子への愛しさは 自分の想像をはるかに越えるものでした



同時に 今までの全てが巨大な後悔の塊となってわたしに襲いかかりました



つわりが苦しくてこんなのもういやだと思ってしまった自分を殺したいと思いました

入院治療中 早く楽になりたいと思った自分を殺したいと思いました

赤ちゃんを出してあげましょうと言われた時 心のどこかでほっとした自分を殺したいと思いました

大切なこと 失ってからじゃなきゃ気づけなかった自分を殺したいと思いました



もっとたくさん話しかけてあげればよかった

もっといっぱい愛してあげればよかった

もっともっと大切にしてあげればよかった

無事にこの子を産んであげたかった

この子をこの手で抱きしめてあげたかった



ごめんね ごめんね ―

わたしは 叫ぶように泣き続けました



旦那さまもお母さんも 泣いていました



わたしは なつの顔を胸に焼きつけました

この気持ちを絶対に忘れてはいけないと思いました



なつが命をかけて教えてくれたこと

絶対に無駄にしないと 旦那さまと誓いました






なつは 不妊治療をはじめた途端わたしのお腹へ来てくれた子でした



なつが来てくれたとき 旦那さまとこんな話をしました



きっとお空の上でわたしたちのことをずっと待ってくれていて

やっとわたしの体の準備ができたから 飛んできてくれたんだねと



― なつくん せっかくパパとママのところへ来てくれたのに

ママが弱かったせいで 無事産んであげられなくて本当にごめんね



ママ 絶対強くなるから

強くて優しいママになれるように頑張るから



いつか またママのお腹に帰ってきてね

ずっとずっと待ってるからね








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