空へ
テーマ:* なつくんのことなつが生まれた日
わたしたちは病室で1日なつと一緒に過ごすことができました
自分はいいからと なつをずっとわたしのそばに眠らせてくれていた旦那さまが
帰り際 少しなつと寝ていこうかなと言い
なつの入った小さな箱を抱きしめてソファに横になりました
旦那さまはなつに何か語りかけて そっと涙を流していました
その光景が 今でも忘れられません
旦那さまが 役所への届けや火葬の手続きを行ってくれました
届けとか火葬とか ―
頭が全然追いつきませんでした
だけど 産着・・・
なつに産着を買ってあげたいと思いました
まだ後陣痛と出血が続いていましたが どうしても2人で選びたくて
車椅子で市内のショッピングモールへ向かいました
わたしたちは なつによく似合いそうな白と水色の産着を選びました
こうしてなつのために何かしてあげられることがこの上なく幸せでした
だけどそこは あの時のわたしにとって残酷なほど悲しい場所でもありました
大きなお腹の妊婦さんや 小さな赤ちゃんを抱いたお母さんがたくさんいました
みんな笑顔がこぼれていました
顔をあげることができませんでした
車椅子の上 下を向いてじっと涙をこらえました
その日の夜 わたしはなつがママの匂いを覚えていてくれるよう
その産着を一晩中抱きしめて眠りました
火葬の日 朝から雨が降りしきっていました
わたしは なつを膝の上にのせて火葬場へ向かっていました
車のフロントガラスを打ちつける大粒の雨を見てぼんやりと思いました
入院中ベッドから見える窓の外はいつも青空だったのに
なつが泣いてる なつの涙雨 ―
お花と産着とお手紙 そして精一杯笑って撮ったパパとママの写真を
なつの入った白く小さな箱の隣に置いて 最期のお別れをしました
壊れそうで触れられなかったなつの頬と手に そっと指をのせてみました
なつくん ずっと一緒にいるからね・・・
― なつは炉の中へ吸い込まれていきました
お別れの時間はあまりにも一瞬で
心と体がバラバラになって涙が流れませんでした
火葬場でのことは あまりよく覚えていません
現実に心が追いつけなくて
なつを茫然と見送り 茫然とお骨を拾いました
小さな骨壺を抱えて 自宅へ帰宅したとき
リビングには マタニティ雑誌やマタニティマークの付いたバッグが
まだそのまま置いてあって それがあまりにも骨壺とかけ離れていて ―
その瞬間から わたしは3日間泣き続けました
旦那さまが ずっと抱き締めていてくれました
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