婚外子:「ペナルティー?」 相続格差以外にも差別

2013年08月29日

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婚外子に関連する差別的な扱い

 結婚していない男女間に生まれた非嫡出子(婚外子)は相続の際、遺産の取り分が嫡出子の半分しかない−−。民法の相続格差規定を巡り、最高裁大法廷が9月4日、違憲判断を示す見通しになった。だが、相続格差の他にも婚外子に対する差別的な扱いは残っている。当事者たちは「最高裁の判断が、差別をなくすきっかけになれば」と期待する。【和田武士】

 大阪市西成区で一人息子の礼仁(あやと)君(4)を育てる会社員、西崎麻衣さん(28)は「未婚の母」だ。「親の婚姻歴で相続まで変わるのはおかしい。規定が変わることを願っています」と最高裁決定を見守る。

 2008年に交際相手の子を妊娠したが、一方的に婚約を破棄され、悩んだ末に出産した。元婚約者は別の女性と結婚し子供もいる。将来、礼仁君に相続権が発生する可能性があるが、西崎さんは「息子の取り分が半分と言われたらやはり嫌です」と話す。

 母子世帯向けの税金の軽減措置である「寡婦控除」にも納得できないという。離婚や死別によって1人で子供らを養う女性が対象で、婚姻歴のない西崎さんには適用されないからだ。税額は保育所の保育料の算定基準にもなるため、寡婦控除が適用された場合と比べ、保育料や税金などの負担増は年間約7万4000円になる。

 「額の問題じゃない。結婚せずに子を産んだことへのペナルティーとしか思えない。それほど悪いことをしたのでしょうか。多様な生き方を認めてほしい」と西崎さんは訴える。

 千葉市や那覇市など一部の自治体は、未婚の母にも寡婦控除を「みなし適用」して保育料を低減しているが、こうした運用は例外的だ。棚村政行・早稲田大教授(家族法)は「結婚していなくても納税して子供を扶養している場合には支援が必要。婚外子に対する間接的な差別であり、相続差別と同様に改めるべきだ」と指摘している。

 ◇出生届「嫡出子」「嫡出でない子」のチェック欄

 婚外子に対する差別的な扱いは司法判断などを機に徐々に是正されてきたものの、嫡出子とは異なる制度が依然として維持されている。「家族の形」と法の在り方を巡る議論が高まりそうだ。

 一例が出生届だ。民法が相続格差を認めていることなどを踏まえ、「嫡出子」「嫡出でない子」のチェック欄が設けられている。「嫡出」という言葉には「正統」という意味合いがあり、抵抗感を持つ親も少なくない。

 民法は事実婚カップルに子供が誕生しても、法律上は父子関係を認めず、父親の「認知」が必要になる。事実婚の夫婦が一緒に子供を育てていても、共同親権を持つことは認められておらず、いずれかの単独親権に限られる。【和田武士】

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