「地図を活用すればリスクも解決への道筋も明らかになります」
小城氏:地図の上にさまざまな情報をプロットすることで、それまで気づかなかった事実が浮かび上がる。
それが私どもの考えるBCP策定の基本です。地図を活用することで、リスクは一体どこにあるのかということを「見える化」して十分に理解していただき、解決するにはどういった対策が必要かという道筋を把握していただきたいのです。
BCPの基本は、何よりもまず安否確認そして初動対応です。そのためには対策本部などで中心になって動く要員を予め決めておかなければなりません。一般的には、総務部から何人、企画部から何人といった決め方をしていると思いますが、実際に従業員の方の住所を地図にプロットしてみると、「会社から20キロ以上離れたところや、震度6強以上の地震が想定されるエリアにお住まいの方を本部の要員にしていた」などということが一目でわかるのです。そうすると担当者の方も、これではいけないと気がつくわけですね。
また、いざ災害が起きた場合には、従業員の方の安否確認を地図上にプロットすることで、初動対応も迅速化することができます。私どもでは、災害時における円滑な初動活動をサポートするシステムを構築し、すでに金融機関などのお客様に提供しています。東日本大震災の際には、本システムが有効に機能したと聞いています。
無線+BCP=安心
東日本大震災から半年を迎え、ケンウッドでは通信手段という視点から企業のBCPに対する意識を探るためのアンケートを実施しました。 お二人はその結果をご覧になってどう感じられたのか、感想をうかがいました。
「トランシーバーを含め複数の通信手段を持つことが重要」
橘氏:震災当時、携帯電話などの既存の通信手段が、通話規制などによって十分に使えなかったことは、アンケートなどからも明らかですね。事業継続計画を作る際にも非常に心配される点です。そうしたリスクを避けるには、固定電話や携帯電話などの公衆インフラだけに頼らず、衛星電話、そしてトランシーバーを含む複数の通信手段を持つことが重要ではないでしょうか。 コスト面でもデジタル無線機なら通信費がかからないというメリットがありますから導入しやすいと思います。
「近距離にある事業所間はトランシーバーで安否確認を」
小城氏:ケンウッドのデジタル無線機(別ウインドウが開きます)の活用法として、工場内など近距離にある事業所間、もしくはビル内のフロアに部門が分散する大企業などの連絡手段として従業員(対策本部要員)に配備しておくことが挙げられます。
安否確認を含むコミュニケーションツールとして、また災害時の初動体制をいち早く構築するためにも、有効なツールではないかと考えています。