シュートが少なく、スタジアムが沸く場面がほとんどない試合だったが、グランパスの攻撃は、引き分けた前節(24日)のC大阪戦よりは質が高かった。
最下位の大分は、立ち上がりから5バック気味で、両サイドのスペースを消してきた。グランパスはなかなかチャンスをつくれなかったが、中央を使って揺さぶったり、藤本が何度も2列目から飛び出すなど、大分の守備網に穴を空けようと、あらゆる手を尽くした。
終盤、ケネディが奪った2ゴールは決して偶然ではない。前半から続けた揺さぶりがボディーブローのように効いて、大分のDFラインが少しづつ下がり、グランパスに点が生まれる可能性が高まった。
経験の差を見せた勝利と言えるだろう。攻撃パターンの引き出しが多く、最後は大分が耐え切れなくなった。一瞬のスキを突かれた失点で苦しい展開だったが、90分を通して、用意周到に手をかけ、じっくり料理した試合運びが光った。 (愛知東邦大監督、元グランパスDF・藤川久孝)
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