Updated: Tokyo  2013/08/29 08:06  |  New York  2013/08/28 19:06  |  London  2013/08/29 00:06
 

8月28日の海外株式・債券・為替・商品市場

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  (ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。

◎NY外為:ドルが上昇、シリア情勢で安全性高い資産へ逃避

28日のニューヨーク外国為替市場ではドルが1週間ぶり大幅高となった。米国によるシリアへの軍事介入の可能性が高まってきたことからリスクを取った取引が敬遠され、投資家は安全性の高い資産を選好している。

オーストラリア・ドルは主要16通貨の大半に対して下げた。中東での紛争が拡大するとの懸念から新興市場国通貨への需要が後退。トルコ・リラは最安値を更新した。29日には米実質国内総生産(GDP)が発表されるが、市場予想では速報値からの上方修正が見込まれている。

三井住友信託銀行ニューヨーク・マーケットビジネスユニット・トレジャリーチーム調査役、藤田善嗣氏(ニューヨーク在勤)は、地政学的リスク要因の影響で地合いは非常に悪いと指摘した。

ニューヨーク時間午後5時現在、ブルームバーグ米ドル指数 は0.4%高の1028.68。一時は0.5%高と、日中ベースでは21日以来で最大の上げとなった。ドルは対円で0.6%上昇して1ドル=97円64銭。ドルはユーロに対して0.4%高の1ユーロ=1.3339ドル。円はユーロに対して0.2%安の1ユーロ=130円25銭。

トルコ・リラは最安値を更新。対シリア軍事行動によってトルコも影響を受けるとの懸念が背景。国営TRTテレビによると、化学兵器による攻撃を恐れて、過去5日間でシリアから約4000人の難民がトルコに避難した。トルコ・リラは対ドルで0.1%安の1ドル=2.0386リラ。一時は2.0730リラと、ブルームバーグがデータを取り始めた1981年以降で最安値となった。

JPモルガン・チェースのG7ボラティリティ指数は10.43に上昇した。

ポンドが上昇

ポンドは対ユーロで一時の下げから上昇に転じた。イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁が7月の就任後初めて政策について講演し、フォワードガイダンス(時間軸政策)が景気回復の一助となると述べたことに反応した。同総裁はまた、「不透明感を減らし、将来における不可避の衝撃にもかかわらず成長が持続するよう、反発力を養うために可能な措置に力を入れている」と語った。

ポンドは対ユーロで0.3%高。一時は0.4%安まで下げていた。ドルに対しては0.1%安。

化学兵器を使用したとしてシリアを非難する国連安保理決議案にロシアが反対すると、米国と英国は国連の承認がなくともシリアに対して行動を取る用意があると述べた。これに反応してドルは上昇した。シリア政府は化学兵器の使用を否定している。

第2四半期の米GDP予想

ブルームバーグがまとめた調査によると、29日発表される第2四半期の米GDPでは前期比年率2.2%増と、速報値1.7%増からの上方修正が予想されている。  

米銀が決済機関デポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング(DTCC)へ提出したデータをブルームバーグがまとめたところによると、外為オプションの店頭取引は合計250億ドル。前日は230億ドルだった。対ユーロでのドルのオプション出来高は65億ドルで、シェアは26%と最大だった。

先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数によると、ドルは年初来で5.1%上昇。ユーロは6.4%上昇。一方、ドルは7.9%下げた。  

原題:Dollar Up Most in Week as Syria Tensions Drive Flight toSafety(抜粋)

◎米国株:反発、エネルギー株に買い-シリア情勢に注目

米株式相場は反発。シリア情勢に注目が集まる中、エネルギー株に買いが入った。

シェブロンとエクソンモービルが上昇。デジタル映像録画サービスのティーボは大幅高。損益が黒字になったことが好感された。一方、採鉱機メーカーのジョイ・グローバルは下落。新機器への需要が減少していることを明らかにした。7月の中古住宅販売成約指数が低下したことを背景に、パルトグループとD.R.ホートンは下げた。

S&P500種株価指数は前日比0.3%高の1634.96と、100日移動平均近辺で終えた。前日には6月以来で初めて同移動平均を下回っていた。ダウ工業株30種平均はこの日、48.38ドル(0.3%)上げて14824.51ドル。

グリーンウッド・キャピタル・アソシエーツのウォルター・トッド最高投資責任者(CIO)は「前日の売り浴びせに対する小さな反動にすぎない」と指摘。「大きく売られた結果、一部の分野では投資の機会が出始めていると考えられる。投資家は賢明にも、この機会を利用できるかどうか見極めようとしている」と語った。

米英はこの日、国連安全保障理事会の承認なしにシリアへの軍事攻撃に踏み切る用意があることを表明した。

米国は国連の承認がなくともシリアに対して「適切な」行動をとると、国務省報道官が言明した。化学兵器を使用したとしてシリアを非難する決議案にロシアは反対した。

「絶好の買い場」

フェデレーテッド・インベスターズのファンドマネジャー、ローレンス・クリアチュラ氏は電話インタビューで、「一つの材料に注目が集まり、他の全てがそれに左右される環境下にあり、この日はそれがシリアだった」と発言。「突然の予期せぬ紛争を嫌気した売りがその反応だ。一時的な出来事に起因する株価の軟調は絶好の買い場になるケースがよくある」と述べた。

全米不動産業者協会(NAR)が発表した7月の中古住宅販売成約指数(季節調整後)は前月比1.3%低下と、今年に入って最も大きく下げた。前月は0.4%の低下だった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の予想中央値では7月は前月比変わらずと見込まれていた。

S&P500種の全10セクターのうち、エネルギー株(1.8%高)を筆頭に7種が上げた。シェブロンは2.5%、エクソンは2.3%それぞれ上昇した。

ティーボ、ジョイ・グローバル

ティーボ は5.6%上昇した。第2四半期は和解関連を含む2億6890万ドルの純利益を上げた。前年同期は2700万ドルの損失だった。

ジョイ・グローバルは4.7%下落。同社の最高経営責任者(CEO)は顧客のキャッシュフロー縮小により、設備投資が大幅に減り、状況はますます厳しくなっているとの見解を示した。

原題:U.S. Stocks Advance as Energy Shares Gain Amid SyriaConcern(抜粋)

◎米国債:下落、5年債入札で応札倍率が09年7月以来の低水準

米国債相場は5営業日ぶり反落。この日の5年債入札 (発行額350億ドル)で需要が4年ぶり低水準となったことを嫌気した。

5年債入札では、投資家の需要を測る指標の応札倍率が2.38倍と、2009年7月以来の低水準だった。過去10回の入札の平均は2.74倍。財務省はこの5年債について銘柄統合方式とし、表面利率1.5%で2011年8月に発行した7年債と同一の債券として追加発行する。10年債利回りはほぼ2週間ぶり低水準から上昇。29日発表される4-6月(第2四半期)の米国内総生産(GDP)改定値は、速報値からの上方修正が予想されており、金融当局が緩和策縮小を始めるとの観測が強まっている。

ノバスコシア銀行の米国債トレーディング責任者、チャールズ・コミスキー氏(ニューヨーク在勤)は「入札はあまり良くなかった」と指摘、「市場参加者は金融当局からのより明確な情報を待っているところだ」と続けた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後4時59分現在、既発5年債利回りは前日比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.58%。過去3日間では16bp下げていた。同年債(表面利率1.375%、2018年7月償還)価格は1/4下げて992/32。

10年債利回り は6bp上げて2.77%。

5年債入札

米政府債のディーラー間ブローカーで最大のICAPによると、米国債の出来高は2920億ドルと、前日の3250億ドルから10%減少。年初来の最高は5月22日に付けた6620億ドル。年初来の平均は3127億ドル。

5年債入札では、最高落札利回りは1.624%。直前の市場予想は1.618%だった。

米財務省は発行する5年債について、11年8月発行の7年債(表面利率1.5%)と同一の統一証券識別番号になると説明した。

モルガン・スタンレーのエコノミスト、テッド・ウィーズマン氏は「予定外の銘柄統合は非常にまれであり、混乱要因ともなり得る。だが今回の場合は大きな問題にはならないだろう」と指摘した。

5年債入札では、海外の中央銀行を含む間接入札者の落札全体に占める比率は40.3%だった。過去10回の入札の平均は44.2%。

プライマリーディーラー以外の直接入札者の落札全体に占める比率は12.7%。過去10回の平均は15.9%。

リターン

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によれば、5年債の年初来リターンはマイナス2.6%。米国債全体ではマイナス3.1%となっている。2012年は5年債のリターンはプラス2.3%、米国債全体ではプラス2.2%だった。

米財務省はあす29日に7年債入札(発行額290億ドル)を実施する。

ブルームバーグ世界債券指数によると、米国債の年初来リターンはマイナス3.1%。今月は前日までの段階でマイナス0.5%となっている。

原題:Treasuries Fall as 5-Year Note Auction Demand Lowest Since2009(抜粋)

◎NY金:小反落、ドル上昇で3カ月ぶり高値から下げに転じる

ニューヨーク金先物相場は小幅反落。一時は3カ月ぶり高値をつけたものの、ドルの上昇を背景に代替投資としての買いが後退し、下げに転じた。

主要10通貨に対するブルームバーグ米ドル指数 は一時0.5%高。米国主導でシリア攻撃が行われるとの観測が高まる中、安全逃避資産の買いが強まり、金は一時5月以来の高値に上昇した。

RJオブライアン・アンド・アソシエーツ(シカゴ)のシニア商品ブローカー、フィル・ストライブル氏は電話インタビューで、「ドルの強さが金にはマイナスに働いている」と指摘。「市場は急上昇した後の一服に入っている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比0.1%安の1オンス=1418.80ドルで終了。一時は1434ドルと、5月14日以来の高値となった。

原題:Gold Futures Decline From Three-Month High on StrongerDollar(抜粋)

◎NY原油:約2年ぶり高値、対シリア攻撃観測で供給不安

ニューヨーク原油先物相場は続伸。シリアの情勢緊迫化の影響が広がれば、中東産原油の供給が脅かされるとの見方から、2011年5月以来の高値を付けた。

ロンドンで取引される北海ブレント原油は6カ月ぶり高値に上昇。ニューヨークではガソリン先物も買われた。シリアで化学兵器が使われたとする問題で、米仏英は軍事行動に踏み切るための調整を進めている。ソシエテ・ジェネラルによると、供給に障害が生じた場合にブレント原油は1バレル当たり150ドルに達することもあり得る。リビアは生産量が日量20万バレルを割り込んだ可能性があるとした。2011年にカダフィ政権に対する反政府運動が激化して以来で最低の水準となる。

マニュライフ・アセット・マネジメント(ボストン)で天然資源関連の債券ポートフォリオを運用するマネジングディレクター、アダム・ワイズ氏は「中東に対する不安感が今の市場に反映されている」と指摘。「中東で、特にシリアとイランで緊張が高まれば、原油価格は上昇すると考えられる。情勢の展開次第で価格が上振れすることはこの先多いだろう」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前日比1.09ドル(1.00%)高の1バレル=110.10ドルで終了。終値としては2011年5月3日以来の高値。年初からは20%値上がりしている。

原題:WTI Crude Surges to Two-Year High as Syrian TensionEscalates(抜粋)

◎欧州株:6週ぶり安値、シリア情勢で-アコーと航空株安い

28日の欧州株式 相場は下落し、指標のストックス欧州600指数は6週間ぶり安値を付けた。米国がシリアに対し軍事行動を起こすとの懸念が高まった。

フランスのホテル運営会社、アコーは約1年2カ月ぶりの大幅安。上期利益がアナリスト予想に届かなかった。英蘭系エールフランス・KLMグループと独ルフトハンザ航空を中心に航空・娯楽関連銘柄が下げた。一方、仏建設会社ブイグは6カ月ぶりの大幅高。第2四半期の10%増益が好感された。

ストックス欧州600指数 は前日比0.4%安の297.89で終了。これは先月17日以来の安値。一時は1.1%下げた。欧州中央銀行(ECB)が示した長期にわたり低金利を維持する方針を好感し、6月24日の年初来安値からは8.1%上げている。

クーツ(チューリヒ)のノーマン・ビラミン最高投資責任者(CIO、欧州担当)は電話インタビューで、「シリアやエジプトに関する懸念で大事なのは原油相場の大幅上昇であり、特に新興市場、ひいては西側諸国にも一段と大きな問題となる可能性がある点だ」と発言。「この調整局面は、新規の買いを入れたい投資家に好機をもたらすだろう」とも語った。

28日の西欧市場では、18カ国中12カ国で主要株価指数が下落。仏CAC40指数は0.2%、独DAX指数は1%それぞれ下げ、英FTSE100指数は0.2%安となった。

原題:Europe Stocks Fall to Six-Week Low onSyria Concern; Accor Drops (抜粋)

◎欧州債:イタリア債反発、連立崩壊回避との楽観で-英独債下落

28日の欧州債市場ではイタリア10年債 が4営業日ぶりに上昇した。ベルルスコーニ元首相の盟友であるレナート・ブルネッタ氏の発言で、連立政権の崩壊を回避できるとの楽観が高まった。

イタリア10年債利回りは6週間ぶりの高水準から低下した。元首相率いる自由国民の幹部、ブルネット氏が同国で不評の不動産税の一部は撤廃されると発言したため、自由国民が連立を離脱するとの懸念が和らいだ。一方、ドイツ国債は米国債とともに下げた。

クレディ・アグリコルCIB(ロンドン)の欧州金利戦略責任者、ルカ・イェリネック氏はイタリア国債相場について、「ベルルスコーニ陣営と与党が何らかの合意に至ることを示唆する発言内容だったので、安心感で反発したようだ」と述べた上で、「政治的不安を和らげる可能性はあるものの、取り除かれてはいない」と続けた。

ロンドン時間午後5時現在、イタリア10年債利回りは前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.41%。一時は4.48%と、7月18日以来の高水準に達した。同国債(表面利率4.5%、2023年5月償還)価格はこの日、0.32上げ101.055となった。

ドイツ10年債利回りは3bp上昇し1.88%。前日までの2営業日で9bp下げていた。

英国債相場は下落。イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁が就任後初めて政策について講演。この中で、リスク加重資産の7%に相当する資本を保持する英銀を対象に、国債など売却が容易で利回りが比較的低い証券の保有規模縮小を認めると述べたことが手掛かり。

英2年債利回りは前日比4bp上昇の0.46%。同国債(表面利率4.75%、2015年償還)価格は0.085下げ108.64。この日から指標となった10年債(表面利率2.25%、2023年9月償還)の利回りは3bp上げ2.81%。

原題:Italian Bonds Rise as Tax-Deal CommentsCalm Political Tension(抜粋)Pound Advances From 3-Week Low Versus Euro asCarney Sees Growth(抜粋)

更新日時: 2013/08/29 06:56 JST

 
 
 
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