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help RSS ネットだけみていると真実は見えない、というお話

<<   作成日時 : 2013/08/28 14:51  

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 ネットが発達してアマチュアでも日本国内のみならず、世界に向けて発信情報をすることがきるようになりました。また今まで不可能だった情報もネットで容易に検索できるようになました。

 このためアマチュアでも公開情報元に非常に優れた分析を行ない、それを発表することが可能となりました。実際に軍事関係のブログなどでも瞠目すべきブログは少なからず存在します。

 その一方で非常に残念な情報発信ばかりしている人たちはもっと増えました。
 情報の鉄則はまず疑うことですが、この手の人たちは自分たちが信じていること、信じたいことをまず信じてしまう。
 そしてその信じたことを補完する材料をネットで探して自説補強のために、一生懸命貼り付けるわけです。一番元がおかしいから、いくら補強をしてもアレなのですが。そして自分の主張と異なることを述べている人間を攻撃します。

 フレンチ・レストランで、ブルーチーズを出されて、これはカビの生えた不良品だとか、ウオッシュタイプのリバロとか出されると、これは腐臭がする!と、怒るわけです。
 しかも覆面(匿名)して仲間を集めて店先で鉦や太鼓を鳴らして大騒ぎする。ネットでカビとか腐臭という言葉を検索して、これが事実だと大騒ぎするわけです。
 かつてサングラスとヘルメット、手ぬぐいで顔を隠して狼藉を働いていた左翼の暴力集団と同じです。顔も名前も出ないから、品性下劣な素を丸出しです。 

 この手の人たちに共通するのが自分対する評価が過剰とも言えるほど高いことです。また根拠のない自信もこれまた極めて強いということです。
 恐らくリアル社会では周囲から殆ど評価されていのでしょう。ですから自己愛、過剰な自己評価、自己顕示欲、自己認知欲求が更に強くなるのでしょう。それを満たすためには他者を攻撃するのではないでしょうか。
 
 軍事という分野は極めて広範囲であり、しかも政治や外交、経済、科学技術、法律などの分野の知識も必要です。仮に陸戦兵器限ったことろで膨大な知識が必要です。
 しかも次々に新しい事実やテクノロジーが登場してきます。
 ですから一人の人間がすべてをカバーすることは不可能です。
 
 ぼくは原稿を書くときはいつも不安です。ですから、取材するときは常に教えてください、というスタンスです。また分からないことは同業者でその分野に精通している人や、産業界、自衛隊などのエキスパートに尋ねるようにしています。そうすると立場や見解は違っても情報を提供してくださる方は少なからずいるわけです。

 ところがネットで唯の情報を漁っているだけで、第一人者になったようなつもりになって、上から目線で他人を馬鹿扱いするようなタイプにはまともな情報は集まってきません。

 罵倒し合っていれば建設的な議論はできません。まあ、この手のアレな人たちは真実の追究やや知的興味の充足よりも「法敵」を折伏することを目的らしいので、そうであれば目的は達成していることになります。が、それは知性的とはいえません。

 しかも、この手の人たちは得てして本を読まないようです。
 読んでも読書量が少ない。本を読まないということは、体系的に知識が入ってこない、知識を得ながら思考を熟成させることが非常に困難ということです。
 端的に言うと教養がないということです。

 おそらくは堪え性がないのでしょうが、必要な本を精読することができませんから、深い知識が頭に入ってこない。また忍耐力が無いから、文献を漁ることもしない。ひたすらネットで入手可能な断片的な知識だけをかき集めているわけです。

 そればかりか雑誌や有料のサイトですら読まない傾向が強いようです。雑誌を立ち見読みしてうろ覚えで、他人の悪口をかいたりします。別に買わなくても、図書館でコピーすればいいと思うのですが、そういう手間はかけたくないらしいです。
 因みにぼくは基本的に図書館は使いません。好きないときに参照できないからです。ですから必要な資料は全部買っています。

 ぼくたちの世界では海外の専門媒体を長年に読むことが普通です。このような文献購読は情報を扱う人間の基礎的となります。複数の媒体を長年読み続けることで、個々の記事が頭の中でつながり、体系化されたり、情報の相場観が養われます。例えば●●という情報があるけど、過去の報道から見ると怪しいな、と疑いたくなります。

 このような努力や訓練をしていないと、目先の情報をそのまま信じてしまいます。例えば10式戦車が調達コストが7億円といった誤報に飛びついてしまいます。

 こんなことは少しフレームを引いてみればわかることです。概算要求が出る1年前に、しかも担当の陸幕ではなく、技本が量産品の単価に言及するということはまずありません。役所の仕組みを知っていればこの報道は怪しいな、と思うでしょう。
 ぼくはこれは誤報道だとブログで書きましたが、そのブログを読んでも一旦7億円と信じた人たちは考えを変えなかったようです。それで今に7億円になるはずだ、という主張を繰り返したしています。それは願望であり、事実ではありません。こうなると宗教です。

 ぼくはコンバントマガジン2011年11月号に「10式戦車とその必要性」10式戦車に関して技本に長時間インタビューしたのをまとめた記事を書きました。ぼくの知る限り他にこのよう技本の担当部署に長時間インタビューをした記事ありません。
 当然技本の証言という形で、他の記事には書かれていない内容が多数記されています。因みに原稿は技本にも見せておりますから、間違いはないはずです。
 ですから10式戦車を語るのであれば、清谷信一の主張が好きか嫌いかは置いておいても、当然押さえておくべき文献です。

 ところがネットで手に入る無料の情報だけを手にキヨタニは●●と言っているとか、根も葉もないような批判をしています。
  
 件のコンバットマガジンでは10式の試験で正面から自分の砲で10式を撃った場合「300〜500Gがかかり、中の人間は死ぬ」と書きました。
 これを物理の法則上あり得ない、と数式まで挙げて主張する人たちがいたりします。その中には自称院生や自称院修了者がいたりするようです。

 しかもぼくの記事の全文も読まず、一部だけを切り取って違法にアップされたものを元にして批判したりしているようです。言うまでもありませんが、雑誌などを許可を取らずに複写してネットに挙げるのは違法行為です。ぼくらプロの物書きからすれば、このような行為は万引きやコソドロにしか見えません。
 まともな高等教育を受けた人間ならば、批判対象に全文に目を通すでしょう。仮にプロの人間がこんなことをやると次から仕事は来なくなります。

 この話は10式開発の中心人物に直接聞いた話で裏もとっています。これが物理法則上、あり得ないのであえば技本、陸幕、三菱重工に適当な試験をしたことになりますし、そうだとすれば責任者の進退問題になるような大事件です。何れにしても10式の実用性や、調達のレジデマシーが疑われることになります。ところがこの手の批判をする人たちは諸手を上げて、10式は優秀な戦車だと褒め称えていたりします。


 10式開発の中心人物よりも自分の知識が正しいと信じ、得意になるのはご勝手ですし、止めませんけど。

 しかもその上、ぼくが10式の装甲は全く薄いと主張している断言したりします。先のコンバットマガジンの記事でも、「盗用」以外の部分には「装甲のレベルは先述のようにノーコメントだが、開発関係者によると新戦車の砲塔正面は自己の主砲弾の直撃に耐えられるとのことである」と書いてあります。拙著「国防の死角」でも他の記事でも何度も10式の正面の防御力は90式よりも高いだろうと書いています。

 「盗用」した一文だけを頼りに他人を批判しようとすると、このような無様を晒すことになります。
 
 無料ののネット情報に頼ると事実にはたどりつけません。ネットサーフィンをしていると、お手軽で楽しく自分が賢くなったつもりにはなれるでしょうが、それはイリュージョンです。最近の大学院では文献の探し方を教えていないのでしょうか。

 基礎文献もろくに読まず、ネットの唯のタダで拾ってきた情報や万引き犯のように盗用した情報をもとに専門家の証言を幼稚な知識で物理の法則上ありえない批判し、自分は理系の院生だ、マスターだと威張るのは滑稽です。

 まあネットでは博士だろうが、幹部自衛官だとか、技本の人間だとか、はたまた天皇陛下を自称することは可能ですから、本当に院生だか怪しいものですが。

 もしこの手の人達が本当に院生だの院修了者だったら自分は専門分野で無能です、と公言していることになります。こういう学生を間違って採用した企業やら研究機関は大変ですね。この手の人が自分の実名を公表しないのはある意味賢明かもしれません。 



 
朝日新聞のWEBRONAに以下の記事を掲載しました。
おおすみ級〜いずも級 空母保有に向ける海自の野望と緻密な世論誘導
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013082600005.html?iref=webronza
陸自の救急セットでは、自衛隊員の命を救えない
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013082100006.html?iref=webronza
暑いニッポン、戦車にクーラーを付けなくていいのか?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013081400005.html?iref=webronza
22DDHは護衛艦=駆逐艦か?(上)――実態は「ヘリ空母」
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013080100004.html?iref=webronza
22DDHは護衛艦=駆逐艦か?(下)――なし崩し的な拡大解釈
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013080200008.html






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