新潟知事:汚染水問題、柏崎刈羽原発再稼働の判断材料に

毎日新聞 2013年08月28日 21時39分(最終更新 08月29日 01時05分)

 新潟県の泉田裕彦知事は28日、東京都内の日本外国特派員協会などで会見し、東京電力福島第1原発の汚染水問題について「原発を運転する資格のある会社なのかという判断の要素になりうる」と述べた。汚染水問題にメドをつけることが、同県にある柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を左右するとの認識を示したもので、同原発の再稼働に向けたハードルはさらに高くなった格好だ。

 泉田知事は会見で、同原発の再稼働について「(福島)事故の検証と総括をしたうえで議論すべきだ」との考えを表明。「目先のお金を優先し、安全対策を怠り、自らの首を絞めることが続くなら、破綻処理も選択肢の一つ」と東電を批判した。汚染水流出の公表遅れについて「過去の経験に学べない企業が、原子力のオペレーションをできるか不安」と厳しい認識を示した。

 東電は、経営再建の要である同原発の再稼働を目指すが、泉田知事の反発で、手続きの入り口にあたる安全審査申請もできていない。再稼働への道筋を示せないと、東電を支援してきた金融機関の融資継続が難しくなり、「昨年に続く電気料金の再値上げに追い込まれかねない」(東電幹部)。こうした焦りから、東電では「早急に申請する選択肢も検討すべきだ」(同)との強硬論も強まりかけていた。

 ただ、汚染水漏れは原発事故の国際評価尺度(INES)で、8段階の「レベル3」(重大な異常事象)とされたほか、28日に茂木敏充経済産業相と会談した佐藤雄平・福島県知事も記者団に「まず原発事故の処理に全力で当たってもらうのが第一」と述べるなど、早急な解決を求める声が高まっている。関係者によると、東電の28日の取締役会で、審査申請時期は慎重に検討する方針が確認された。

 ただ、汚染水問題にいつメドがつけられるかは不透明だ。泉田知事の理解を得て再稼働を目指すのも、利用者の反発が強い再値上げも容易ではない。東電は一段と追い詰められた格好だ。【清水憲司、浜中慎哉】

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