【小早川遥平、斉藤智子】漫画「はだしのゲン」の小中学校での閲覧制限を撤回した松江市教育委員会は28日、市役所で臨時の小中学校長会を開き、閉架の要請と撤回に至った経緯を説明した。校長からは、市教委の対応や姿勢を問いただす質問が相次いだ。
市内の全49小中学校長が出席。冒頭、清水伸夫教育長が「手続きの不備で大きな混乱を招いた」と謝罪し、事務局幹部3人とともに頭を下げた。
「過激な描写がある」という理由で市教委が閉架措置を2回要請したことについて、複数の校長が「指示と受け止めた」と指摘。要請自体を疑問視する質問が相次ぎ、市教委は「知る権利を侵害するつもりはなかった」などと釈明に追われた。「学校の自主性を尊重する」という結論に対しては、「改めて学校で協議する」「閲覧の自由を保障してもらってありがたい」などの声が上がった。
校長会後、会見した河原史佳・小学校長会長は「当時は指示と受け止め、校長会として再考を促さなかった。主張すべきところは主張しないといけないと思った」と振り返った。
出席した八雲小学校の井田佳彦校長は「学校が正しく判断できるよう、作品のどこを問題視したのかなどの情報を提供してほしい」と語った。
朝日新聞が市立小中学校に電話取材したところ、28日までに回答を得られた44校のうち、少なくとも28校が開架に戻すことに前向きな方針だった。「閉架を続ける」とした学校はなかった。