そこが聞きたい:公立図書館の民間委託 樋渡啓祐氏
毎日新聞 2013年08月28日 東京朝刊
図書館法の規制です。「公立図書館は入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」としている。無料なのはいいのですが、無料の貸し出し本の横に市販の本を置けない。例えば、村上春樹フェアを開くとする。貸し出し本や市販の本、関連するCDやDVDなど、全部が1カ所に並んでいれば楽しいと思いませんか。時間の余裕のある人は借りるし、急ぐ人は買う。これからはそうすることが絶対大事だし「市民価値」(市民の視点に立つ行政サービス)は上がる。法律を作った時には想定していなかったニーズが発生しているのです。
◇聞いて一言
武雄市は人口約5万人。開湯1300年を誇る武雄温泉が有名だが、少子高齢化で人口減少に悩む。樋渡市長は日本フェイスブック学会を創設し、市のホームページもフェイスブックに移行させて知名度を上げた。また、地方自治体が特産品を売るためのネット通販(10団体が加盟)も始めた。市長は「スピードが何よりの付加価値」と矢継ぎ早に政策を打ち出し、それが時に「独裁」との批判も浴びる。衰退する郷土を何とかしたいという情熱と哀愁感がその背中に漂っている。
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■ことば
◇1 Tカードで本を借りる
民間企業のポイントサービス付き「Tカード」が貸し出しカードを兼ねる。「カードに蓄積される個人情報(貸し出し履歴)が企業に漏れる」との批判が出たため、従来の貸し出しカードとの選択を可能にした。7月末現在、カード登録者のうち94.4%がTカードを選択している。
◇2 ライブラリー&カフェ
館内でコーヒーなどを飲みながら読書すること。武雄市図書館では代官山蔦屋書店の「ブック&カフェ」を見ならい、スターバックスで飲み物を買い、館内の書店コーナーに積まれた約600種類の雑誌を自由に席に持ち出して読むことができる。
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■人物略歴
◇ひわたし・けいすけ
1969年11月18日生まれ。東京大卒。12年間の総務省勤務の後、2006年4月、武雄市長に36歳の最年少(当時)で当選。現在2期目。