そこが聞きたい:公立図書館の民間委託 樋渡啓祐氏
毎日新聞 2013年08月28日 東京朝刊
館内での書籍と雑誌の販売、CD・DVDのレンタル、コーヒーチェーンの「スターバックスコーヒー」の出店は全て私がCCCにお願いしました。ライブラリー&カフェ=2=は好調なようで、その利益で雇用も確保されています。
−−午前10時〜午後6時の開館時間が午前9時〜午後9時に4時間延長され、年中無休も実現しました。
これらを市の直営で実施すると、人件費や光熱費などで図書館の年間予算は従来の1・6倍の2億3200万円になります。しかし、指定管理者となったCCCに支払うのは年間1億1000万円で、市が負担する関連経費を加えても、従来より5%程度の節約になっています。
−−4月の開館から4カ月間の入館者は前年同期比4倍の約34万人に上り、アンケートでも8割が「満足」と答えています。
予想外の好評です。実は私はたかが図書館と思っています。全国に公共の図書館は3000以上あり、うちは蔵書も規模も中程度です。それなのに、なぜこうクローズアップされるのか? 毒を込めて言えば、世の中にろくな図書館がないからですよ。一部の人が固定観念で「図書館はかくあるべし」と唱え、カビ臭いイメージになっています。
−−市長はよく図書館に行かれていますね。
出張の日を除き、1日1回は行くようにしています。市民も気楽に声をかけてくれ、今日も図書館で「あそこの道路を何とかしてくれ」と陳情を受けました。図書館という空間の持つ力のお陰で、私も市民もコミュニケーションが取りやすい。うちの市議会議員も「私たちは街の中に図書館を造ったつもりだったけど、実は図書館の中に街ができているんじゃないか」と言っています。
行政の仕事は医者と同じ。目の前のおかしな点を改善するために最適解を探すのが仕事です。あえて言うなら図書館は街づくりのエンジンです。この図書館を見て「この街に住みたい」と言う人が増えています。
−−さらなるサービス向上のために障害になっていることは。