神戸発:10月27日投票、市長選 維新、方針未決定 みんなと溝、堺決戦で余力なく
毎日新聞 2013年08月26日 大阪朝刊
任期満了に伴う神戸市長選(10月13日告示、27日投開票)が迫る中、態度を明確にしていない日本維新の会に注目が集まっている。7月の参院選では大阪、兵庫両選挙区で議席を確保し、一定の存在感を見せつけた。神戸市長選では、維新がみんなの党と再び手を握るかが鍵になるが、直前に大阪都構想の行方を占う堺市長選(9月29日投開票)があり、維新党本部は余力がない状態だ。【渡辺暢、山口朋辰】
3期目の矢田立郎市長が退任の意向を示し、新人4人が出馬表明。自民が久元喜造(きぞう)氏、共産が貫名(ぬきな)ユウナ氏を推薦した。民主は県連が久元氏推薦を党本部に申請、公明は26日に対応を発表する。
維新の地元関係者は「神戸市長選は超重要案件だ」と言い切る。道州制を掲げる維新にとって、大阪市に次ぐ関西第2の都市・神戸市のかじ取り役は「関西州」の成否に影響するからだ。7月の兵庫県知事選では、関西州に反対する井戸敏三知事に対抗しようと独自候補の擁立を検討したものの、断念した。不戦敗が続けば兵庫での影響力低下は避けられない。
参院選前まで、維新はみんなとともに前回市長選で矢田市長に約8000票差まで迫った樫野孝人氏を支援するとみられていた。前回、樫野氏を支援した国会議員や市議らは現在、みんなの党に所属している。
しかし、みんなは参院選直前に維新との選挙協力を解消し、兵庫選挙区に対立候補を擁立した。更に渡辺喜美代表が維新とのパイプ役だった江田憲司幹事長を更迭し、両党の溝は深まる一方だ。樫野氏も「維新と連携する場合は『大阪都構想に神戸を含めない』との言質を取る」と警戒感を隠さない。
参院選の比例代表で、維新は神戸市内で自民の約18万1000票に次ぐ約12万6000票、みんなは約5万3000票を獲得している。維新の松井一郎幹事長(大阪府知事)は21日の定例会見で、神戸市長選の対応を聞かれ「まずは目の前に迫る堺市長選を全力でやる」と述べるにとどめた。
22日には藤井孝男党選対委員長が、兵庫県選出を含む全国会議員に対し、堺市長選の応援で3回は現地に入るよう指示した。大阪都構想の是非が最大の争点となる堺市長選は「党にとって正念場」。所属議員を総動員して臨む構えで、神戸市長選にかける余力はない。