悪ノ・・・ (yatenyue)
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黄ノ娘と緑の娘~差別された少女と運命に左右された少女~



黄ノ娘と緑の娘~差別された少女と運命に左右された少女~




金色の髪に金色の瞳の少女が緑の国にいました。

          名前をアカリと言った。

        
薄汚れた服を着た少女は家族や村の人にいつも石を投げてきた。

        
金色の髪はありえないと・・


村の人たちは皆できれいな緑の髪なのに人と違う金色の髪の仲間外れの私。



「生きていてごめんなさい」

それが口癖になって自分でも思うようになっていた。

罵声が当たり前で悲しみも怒りも風化してしまったそんな私が

いつも皆からとうざかるように言っていたのは、森にある大きな木の下だった。


 そうして思うのは


 「誰か私を肯定してくれないかな?

    ・・・無理か」





 






 そんな私を変えたのは隣り町に住む一人の少女。


 私より二つ年上のきれいな緑の髪と瞳の少女。

 名をミドリといった。

 
 なんで私なんかに親切にしてくれるのかわからなかった

「なんで私なんかにそんなに優しくしてくれるの?」

 私が訪ねると

 「髪の色が何よ、

  瞳の色が何?

 すごくきれいよ、その色。

 それにそんな容姿であなたの価値が下がるわけないじゃない。

 あなたは誰より素敵な人よ」


涙がこぼれた


たとえ世界の全ての人が 私を蔑み笑っても 必要としてくれる人がいる それだけで幸せだった




それでも甘えるのは怖かった。


そしてふたりで村を飛び出して

彼女はあの男にであった。


   私は一度だけ会ったことがある。

 白い髪に白銀の瞳、でもどこか冷たい雰囲気の男。

 
    愛しているのか?

 そう思った。


 そして緑の国は青の国に滅ぼされ、

 ミドリが   殺された。












           《side 碧の少女》

 私は、緑の国の第二王女として生を受けた。


 7つ上の姉は、お世辞にも器量がいいとはいえない平凡な顔立ちとしていた。

 生まれた私は器量が良かったため


 

   父は私を使って



 ある計画を立てた。


 姉のために腐敗しきったこの国を私をいけにえにして


 


    膿を出し切ることを。










 私は市井で育てられた。


 父のシナリオどおりに生きる人形


 それが・・私だった。


 

 悪名高い悪意逆非道な青の王女の婚約者の白い髪に白銀の瞳を持った白の王子。


 彼を私にほれさせること


 それが、  シナリオ。

 
 でも私はあの瞳を見て思った。


 この王子は愛を理解できない人種だと。


 だから自分の身分を漂わせることで


  


    利用価値のある人間だと思わせた。



町娘のミドリは朗らかで誰からも愛される少女。

 それが  設定。



 じゃあ




     ただの私は?



 

  
 「~~♪~~~♪~♪♪」




 何も知らないかのように無邪気に歌う彼女。



 そして出会った二人の兄妹と従者。

 

 あんなに互いを思いやれるなんてすごい



       って思ってしまった



 父への反抗としてか




      本当の私の意志で



   ヒカリと親しくなり、


 彼女をひとり残して私は死んだ。





 


 その後ミドリの国は第一王女により、立て直されるが、


 白の国に併合され、

 王族は皆殺しにされた。




 



    






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