悪ノ・・・ (yatenyue)
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蒼の女騎士~英雄と呼ばれた、銀の女~

絶対に赦さない。


 正義とは・・悪とは?


蒼の女騎士~英雄と呼ばれた、銀の女~




 青の国の小さな村。

 そこに男顔負けの雄雄しい少女がいました。

 銀の髪を長く結ったそれだけが女らしいなりだった。

 名前は涼風といった。

 憲兵たちは横暴で、上申書を持っていっても役人たちは知らぬ顔。

 そして、それを持っていった父は母を道連れに断頭台で処刑された。


 処刑人たちは言う。

 「王女の命令」だと
 
 
 憎しみの炎が少女の心についた。

 長い髪を切り落とし、

 鍬を剣に代え、

 村娘服は、青い鎧へとなる。


 
 王女は、恋に落ち嫉妬により隣国であるみどりの国を滅ぼしみどりの髪の娘は惨殺された。

 

怒りに沸いた民衆たち

 ある日広場に集まった

 静かに開戦を告げるは
  
 鎧纏いし青の娘







「このままでいい筈はない」

 「いくよついてきな」




 幾人も後を流し、屍を踏み越え



      王女のもとへと


 たどり着く。



  「青藍王女!覚悟!」



 きらびやかな服には金糸がちりばめられ、宝石をたくさん身に着けた苦労も何も知らないような美少女だった。

 「この、無礼者!この私に向かって愚かな!さぁ、跪きなさい!」



 想像したとおりの王女だった。

 彼女の腕を掴んだ時不思議に思った。

 なんでも召使任せにしたとは思えない腕のしたの筋肉とは思えなかった。

 そして、兵などを民衆が捕まえている間に女官の部屋で見つけた手記。

 信じたくなかった、俺が私が憎んだ仇が・・・


 地下牢に幽閉されて少し経って、涼風が地下牢へとやってきました



「見張りの者からお前がなにも食べないと聞いた。なぜだ」


「こんな、質素で黴臭い食事が、王女である高貴な私の口に合うとは思いませんので」


「……もうひとつ訊こう。なぜ、そんな演技をしている?」


「演技?何を仰っているのかまったくわかりませんわね」


「ごまかさなくていい。あの後城を調べた。

大臣やその臣下の者の部屋からは沢山の機密書類が出てきたが、王女の部屋からは一枚も出てこなかった。
更に、城のメイド達の日記も片っ端から読んだ。

だが、大臣達への悪口雑言は沢山書かれていたのに、王女に対してはなんの恨みも書かれていなかった。

それどころか、王女への感謝や愛情に溢れる思いが綴ってあった」


「そ、れ……は」


「そして、お前は男だな?捕らえた時にお前の身体を掴んで気づいた。
あれは女の骨格ではない。王女には顔のよく似た召使いがいたと聞いた事がある。お前はその召使いではないのか?」


「……そこまで分かっているのなら、もう隠す意味もありませんね。青藍様も、きっともう遠くまでお逃げになられたでしょうし。あなたの仰る通り、僕は青藍様の召使いです。久遠と言います」


「久遠、……か。お前はなぜ王女の身代わりになった?」


「その前に教えて下さい。この事を知っているのは?」


「私だけだと思う。メイド達の日記は読んですぐに焼き捨てたからな」


「そうですか。……僕は、いえ王女青藍は恐らく処刑が決まるでしょう。その時は僕が青藍様であるとして、そのまま刑を執行してください」


「何をいう!?王女は悪ではなかった!そしてその上、お前はその王女の身代わりだ!殺せるわけが無いだろう!」


「そんな世迷い言が、今の怒れる国民達に通用すると思いますか?」


「だが、しかし……!」


「それに、青藍様はともかく、僕は充分に悪ですよ」


「……なに、を」


「僕は国民達が苦しんでいるのを知って、それでも何も言いませんでした。何もしませんでした。青藍様を悲しませたくなかったからです」


「……なぜ、そこまで王女を?」


「……自分の唯一の片割れを愛さない兄がいると思いますか?青藍様は僕のたったひとりの肉親です」


「なんだと!?では、……っ!」


「もう話すことはありません。あなたは何も知らなかった。私こそが悪虐非道の王女青藍です」



    正義とは何だ?

  
    悪とは何だ?



   どうして私は



  止めてくれ、ころさせないでくれ、この子には罪など無いはずなのに


  これが正義だというのか、


 そんなの私も・・・








             悪




       だ。





久遠は処刑のその日まで一言も口を開くことはありませんでした。


そして、処刑の日。
迎えに来た涼風に向かって、久遠は柔らかに微笑みました。


そのまま、久遠は堂々と処刑台に向かいます。
その刹那、涼風が耳元で囁きました


「王女は探さぬ。だが、大臣達は必ず、ひとり残らず捕らえて処刑にかけよう。だから……っ」


「ありがとう、ございます……」


ささやかれた言葉に小さく返してから、久遠は処刑台に上がりました


「なにか、言い残すことはないか?」


涼風が聞いたちょうどその時、教会の金が三時を告げました



久遠は小さく微笑みました。



「あぁ、おやつの時間だわ」





ガシャン





ギロチンの刃は振り落とされました。






 






 すべてが終わった後


      満ちていたのはむなしさだった。


 革命のリーダーとして、国の代表者にならないかといわれたが、


    英雄


   なんて呼ばれる資格もないし、呼ばれたく無いそう思って俺は旅に出た。



 

その後、青の国は白の国に吸収合併された




              End



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