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【政治】

高校無償化 所得制限年収910万円超で合意

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 自民、公明両党は27日、2014年度から導入を目指す高校授業料無償化の所得制限額について、世帯年収910万円以上とすることで合意した。所得制限の導入で、家庭にはどのような影響が出るのだろうか。 (清水俊介)

 Q 高校授業料無償化制度とは。

 A 民主党政権の二〇一〇年度に始まった制度で、原則、十一万八千八百円の公立高校の年間授業料を徴収せず、国が負担する。私立高校生には一律で公立と同額の就学支援金を支給していた。

 Q 自公両党は九百万円を軸に所得制限を調整していた。

 A 公明党はもともと所得制限に慎重。所得制限を九百三十万円として、対象が減っても80%にとどまるよう主張した。自民党は七百万円が妥当とし、協議の結果、九百十万円で決着した。

 Q 制限額を九百万円から十万円引き上げると支援対象はどれだけ増えるのか。

 A 自民党の高市早苗政調会長によると、九百万円の場合、支援対象の高校生は現在の77%だった。九百十万円にしたことで、支援対象は78%と1ポイント上昇する。一二年度の高校生は約三百六十万人だから、約三万六千人が支援を打ち切られずに済む計算だ。

 Q 所得制限で浮いたお金は何に使う。

 A 低所得世帯への支援拡充に使う。現在、私立高校生がいる世帯には年間十一万八千八百円の就学支援金を一律に支給。低所得者には上乗せしており、二百五十万円以下の世帯なら、支援金は二十三万七千六百円。

 この仕組みを維持した上で、年収に応じて、支援金を手厚くする。例えば、年収二百五十万円以下の世帯には、基本となる年間十一万八千八百円を二・五倍にする。

 さらに、年収二百五十万円以下の世帯を対象に返済の必要がない奨学金も創設する。私立は十四万円、公立は十三万円を生徒一人につき支給する。

 Q 低所得者対策を充実するのは分かった。中間所得層への支援は。

 A 所得制限額が十万円上がったことで、捻出(ねんしゅつ)される財源が減った。そのため、低所得者層に次いで、手厚い支援を受けられる中間所得層の世帯年収は六百万円から五百九十万円に引き下げた。恩恵を受ける世帯は減ったことになる。

 Q 公立高校生のいる世帯はどうなる?

 A これまで公立高校生のいる世帯からは授業料を徴収せず、国が負担していた。自公の合意では、一四年度から公立高校生がいる世帯にも授業料相当額の就学支援金を支給する。その上で各世帯が授業料を払う仕組みに変えるため、実質的な負担額は変わらない。

 Q 所得制限を受ける年収九百十万円以上の世帯は。

 A 私立、公立とも就学支援金は出ない。そのため、いずれも高校生一人当たり十一万八千八百円の負担増になる。

 

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