安倍首相の筋書き通り、再軍備に向けて動く日本

 内閣法制局の小松一郎長官が「集団的自衛権は正当防衛と同じ」と発言したのは、憲法解釈の変更によって集団的自衛権を行使できる道を開きたい、という意味だと解釈されている。

 安倍晋三首相は、戦争を放棄した現行憲法の改正は国民の反対で難しいとみて、内閣法制局の憲法解釈を変えて集団的自衛権を導入するという「迂回(うかい)戦略」を使っている。こうすることで、再軍備と戦争を可能にしたい、というわけだ。

 日本は集団的自衛権の適用対象を、領土をめぐって中国と争っているフィリピンなど東南アジア諸国にまで拡大する計画で、中国との対立がさらに深刻化しかねない。

■安倍首相の方針に忠実な法制局長官

 内閣法制局はこれまで、政権とは無関係に独自の憲法解釈を維持し「憲法の番人」として尊重されていた。日本がこれまで集団的自衛権を行使できなかったのも、特別な定めや法律があったからではなく、内閣法制局の憲法解釈のためだった。

 安倍首相は、第1次安倍内閣(2006-07年)のときも、集団的自衛権行使のための憲法解釈変更を試みた。しかし当時、内閣法制局長官を含む幹部は「集団で辞表を出す」と抵抗し、これを阻止した。

 内閣法制局長官は、政治的中立性を確保するため、内部昇進するのが慣例だった。しかし安倍首相は、内閣法制局での勤務経験がない小松一郎・駐フランス大使を任命するという異例の人事を行った。小松長官は第1次安倍内閣当時、外務省国際法局の局長として集団的自衛権の行使に積極的に賛成するなど、安倍首相と意見を同じくしていた。

 「パラシュート人事」に恩返しでもするかのように、小松長官は憲法解釈について「最後は内閣が決定する。法制局が決定権を持っているというのは誤解」とまで語った。第2次大戦後に確立した法制局の役割や独立性、憲法解釈そのものを全面的に否定し、安倍首相の意向に忠実に沿っていくという意味だ。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員
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