福島汚染水漏れ:タンク周辺、地盤沈下後も測量せず

毎日新聞 2013年08月28日 07時28分

 東京電力福島第1原発の地上タンクから高濃度汚染水300トンが漏れた問題で、東電はすべてのタンクで設置場所の傾きなどを把握する測量を完成時に1度しか行っていなかったことが27日、分かった。漏れは完成後の地盤沈下でタンクの鋼材がゆがんだためとも指摘されるが、地盤沈下後も再測量をしていなかった。ずさんな汚染水管理が改めて明らかになった。

 東電は2011年7月、試験中のタンクのコンクリート基礎が約20センチ沈下しているのを発見。しかし、タンクを解体して別の場所に移設して使い回し、今月、汚染水漏れが発覚した。

 東電は事態を重くみて、作業状況を検証した。その結果、漏えいタンクは地盤沈下発覚の約1カ月前に設置されたが、小さな傾きがないかどうかなどを知る測量は、使用開始前の1回のみだったと分かった。地盤沈下に気付いたのも、目視で分かるほど基礎にひびが入っていたためだった。現在、敷地内には同型の約350基を含め約1000基のタンクがあるが、測量はすべて1回だった。

 原発敷地内では、東日本大震災の影響で地盤が沈下し、東電も確認している。それにもかかわらず、測量を軽視した理由について、東電は「突貫工事でタンクを造ってきたので手が回らなかった」と説明。他のタンクでも同様の問題が起きかねないため、東電は26日に設置した「汚染水・タンク対策本部」で今後の対応を検討する方針。

 土木工学に詳しい政府の汚染水処理対策委員会の大西有三委員長は、高濃度汚染水を管理する以上は「リスクを減らすため、定期的に測量した方が良い」と指摘した。

 一方、東電は27日開かれた原子力規制委員会の作業部会で、漏えいが7月上旬に始まったとの見方を示した。タンク付近にいた作業員の被ばく線量が7月9日前後から上昇していたためで、これまでは漏水速度などから、漏れが見つかった8月19日の約1カ月前から始まっていたとしていた。また、規制委は漏えい場所がタンク底部の可能性があるとして重点調査するよう東電に指示した。

 規制委は「今後、適切な対策ができなければ、東電に是正を命じることを検討したい」としている。【鳥井真平】

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